アベンジ編9 見逃す

社会人は梅田を早々に捨て、新たな職場へ移っていった。

私鉄やJR京都神戸線、環状線、

地下鉄は梅田手前で折り返し運転を始めた。

新幹線は元々新大阪駅なので影響がない。


一方、自警団は苦戦していた。

天狗が召喚した巨大蜘蛛が子蜘蛛を産み散らす。

建造物は蜘蛛の巣まみれで進むこともままならず、

河童相手の自警団装備では子蜘蛛は強すぎた。


屋外のかまいたちは素早く、天狗に見つかれば全滅する。

自警団の生還率が一気に下がった。


そんな局面で横綱東犬が参戦した。

河童を丁寧に撲殺し、複数戦では相撲で対処する。

時折四股を踏むと、蜘蛛は散り、かまいたちは止む。


東犬は帰らぬ弟子を探しながら、天狗との距離を詰めて行く。

無力な自警団は東犬を援護して進む。


その猛攻に対し天狗の判断は簡単だった。

天狗は四股で墜落させられると、早々に逃走してしまった。


東犬は犬坂から天狗逃走の連絡を受けると、

梅田に残り弟子探索を続けた。

東犬は自警団の希望になった。



村雨剣士犬塚は逃げた天狗追撃にWRXで出発する。

運転は一応可能だが、無免許なので浜路が運転した。

浜路には治癒効果のある黒パーカー黒パンツを着させている。

戦わせるつもりは無い。


犬坂の指示で京都方面へ向かった。



USJはこんな時でも営業している。

犬神は駐車場で電動ハーレーに弓矢だけを残し、

甲冑、木刀、パイルバンカー装備で、

コスプレと言い切りフリーパスチケットを購入して入場した。


客は少なかったが、コスプレで目立ってしまう。

足早にハリポタ城に着くと、内部見学ルートへと進む。


木刀で怪しい壁を叩いて回ると、女性クルーに止められた。

女性クルーの首筋に噛まれた痕を見つけた。

犬神「吸血鬼を呼べ」


女性クルー「何のことでしょう」


乙姫『アワワワ』

乙姫の口から泡が出て、女性クルーの噛み痕を癒した。


犬神「吸血鬼がどこに居るか分かるか?」


女性クルー「吸血鬼?ここはハリポタの城ですよ、お客様」


甲冑姿で吸血鬼を探すマッドな男。

別のクルーがタルナーダに異常を報告した。

甲冑男に接触した配下の人間が自由の身にもなっていると。

タルナーダはクルーに男を隠し部屋へ案内するよう命令した。


ほどなく、犬神が隠し部屋へ入ってきた。

乙姫『お邪魔します』


タルナーダ「なに用か?」


犬神「なぜ河童をさらったりするんだ?」


タルナーダ「強くなるためだった」


犬神「今後も続けるのか?」


タルナーダ「もう強くはなれないから、、今は何もしたくない」


乙姫『ニートの吸血鬼、、』


犬神「天狗を討伐してくれて助かったと思っている。

邪魔をしないなら見逃してもいい。」


タルナーダ「何度か殺しあったのに。甘い奴だな」


犬神「仲間を失って悲しむ奴に殺意が湧かん」


タルナーダ「なら放っておいてくれ」


乙姫『何百年も引きこもってると強くなれるらしいですよ?

大阪城にそんなのが居ます』


犬神「ここの人間を何人か解放した。もう殺すなよ。」


タルナーダ「もうずっと人間は殺してない」


犬神「俺は人間だが殺されかけた」


乙姫『私は神様です』

ガイーン

犬神がパイルバンカーを突っ込み代わりに射出した。

驚いた天井のコウモリの口から信の珠が落ちた。

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