アベンジ編5 天狗の誤算

四国へ向かって飛んでいたタルナーダは淡路島の火事を見ながら、

南にある沼島に来ていた。


犬神達は天狗戦後、淡路島をさまよい続けている。

犬坂はタルナーダが沼島にいる事を把握しているが、陸路がない。

鬼掃討を優先させた。


丸一日経過し、夕方の関空にネーバ達が到着する。

タルナーダのコウモリがネーバ達に接触、吸血鬼達は沼島に集った。


天狗達にとっては早々に明石海峡大橋が落ちたことは予定外だった。

淡路島は徐々に北から平定されつつある。

カラス偵察により状況を把握した南の鳴門大橋天狗は、

鬼ヶ島化を諦め、梅田天狗の元へ合流することにした。


同じころネーバ達は淡路島に上陸し、鬼の力を得ようと鬼を襲う。

あっけなくネーバに噛まれた鬼の目が赤くなった。


ネーバの力が更に増した。金棒の一撃を緑色の素手で受け止めきる。

それでも刺さった金棒の棘の傷は、

とうとう血を吸わなくても治るようになった。

襲い掛かる鬼達との死闘を繰り広げ、配下を増やそうとしていた。


そこへ退却中の天狗が通りかかった。


天狗は上空から音もなく急降下すると、

先のとがった棒でヴィールヒの心臓を突き刺した。


地面に縫い付けられたヴィールヒにネーバとタルナーダも気付く。

ヴィールヒは灰となった。


怒り狂った吸血鬼の猛攻を天狗は飛び上がって回避する。

ネーバが金棒を持って飛び掛かるが天狗にいなされ地面に叩き落とされる。


ネーバはコウモリに分裂して落下のダメージを無効化する。

辺りに竜巻が発生し始めた。


強敵と悟ったネーバがタルナーダに指示する。

「逃げよ」


タルナーダは指示を聞かず暴れまわっている。

天狗にも飛び掛かるが、同じく叩き落された。

無数のコウモリとなったが、今度は竜巻がそれをさらった。


ネーバが金棒を捨て、飛び掛かる。

リーチに勝る天狗の棒がネーバの胸を刺し貫いた。


ネーバは肌を緑色に変え、鬼の力で間合いを詰め、天狗に噛みついた。

一瞬お互い硬直する。


竜巻は四散し、ネーバは灰となった。


コウモリから戻ったタルナーダに天狗の翼が生える。

急いで天狗のもとへ向かう、というより灰となったネーバに近づきたかった。


天狗を抱きかかえ血を吸う。

鼻でネーバの灰を吸い匂いを感じた。


配下にすべき天狗の血を吸う事を止められない。


人間の想像を超えて共に暮らした仲間の死が襲い掛かる。

涙があふれ、天狗が干からびるまで、赤子の様に血を吸いつくした。


涙が風に吹かれてネーバの灰と混じり光った。


光は集まり小さな珠となる。

タルナーダは信の珠を優しく掴むとUSJへと戻っていった。

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