梅田迷宮編3 赤目先生

黒スーツ吸血鬼に噛まれた河童は、赤い目をしていた。

思えば黒スーツ達も赤い目だった。


赤目河童は首を伸ばして噛みついてきた。


犬神は頭の皿を目掛けて木刀を振り下ろす。


赤目河童の頭が回転する。

しかし、その角度は180度。


結果、木刀の威力で叩き落された頭は地面にめり込み、

皿が割れた。


河童の首が縮んでいく。

皿が割れたまま、河童が襲い掛かってきた。


都度木刀で殴り飛ばす。

河童の上半身の至る所が折れ、もはや脅威ではなくなっている。

しかし河童は止まらなかった。


黒スーツ吸血鬼はいつの間にか居なくなっている。


犬神は河童の折れた腕を掴んで壁に叩きつけ、

木刀を胸に突き刺した。


河童は動かなくなり、灰となって消えた。

心臓に杭打ちは効くようだ。


黒スーツ吸血鬼も木刀を恐れて逃げたのだろうか。

魔除けの笛でコウモリを封じたのも退却の一因だったはず。


犬神も河童の数が減っている内に梅地下を脱出した。


空を見上げるとコウモリが飛んでいる。

監視されいるように感じた。



その後、梅田は地上の建物にも河童が潜む場所となった。

皿を割っても死なない赤目河童も数体確認される。


人々は増える犠牲者に悲しみ怒りをつのらせ、

小規模な自警団が結成される。

警察や自衛隊の制止を振り切り、かたき討ちを始めた。


日を追うごとに地下鉄駅の封じ込めは達成されたが、

梅田だけは混沌と化した。



犬神はスマホで実家の神社道場に連絡を済ますと、

地下大阪城の陰陽師犬坂に電話を掛けた。


「梅田でも吸血鬼に襲われた。

今もコウモリが飛んでいて、監視されているかもしれない。」


『そうですか。

ではまた襲われるかもしれないので帰ってきてください。』


「尾行されてもいい?」


『ご自宅へは戻れないでしょう?

おそらく犬塚さんも監視されてます。

うっとおしいので退治してやりましょう。』


「わかった。では戻る。」

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