梅田迷宮編3 赤目先生
黒スーツ吸血鬼に噛まれた河童は、赤い目をしていた。
思えば黒スーツ達も赤い目だった。
赤目河童は首を伸ばして噛みついてきた。
犬神は頭の皿を目掛けて木刀を振り下ろす。
赤目河童の頭が回転する。
しかし、その角度は180度。
結果、木刀の威力で叩き落された頭は地面にめり込み、
皿が割れた。
河童の首が縮んでいく。
皿が割れたまま、河童が襲い掛かってきた。
都度木刀で殴り飛ばす。
河童の上半身の至る所が折れ、もはや脅威ではなくなっている。
しかし河童は止まらなかった。
黒スーツ吸血鬼はいつの間にか居なくなっている。
犬神は河童の折れた腕を掴んで壁に叩きつけ、
木刀を胸に突き刺した。
河童は動かなくなり、灰となって消えた。
心臓に杭打ちは効くようだ。
黒スーツ吸血鬼も木刀を恐れて逃げたのだろうか。
魔除けの笛でコウモリを封じたのも退却の一因だったはず。
犬神も河童の数が減っている内に梅地下を脱出した。
空を見上げるとコウモリが飛んでいる。
監視されいるように感じた。
■
その後、梅田は地上の建物にも河童が潜む場所となった。
皿を割っても死なない赤目河童も数体確認される。
人々は増える犠牲者に悲しみ怒りをつのらせ、
小規模な自警団が結成される。
警察や自衛隊の制止を振り切り、かたき討ちを始めた。
日を追うごとに地下鉄駅の封じ込めは達成されたが、
梅田だけは混沌と化した。
■
犬神はスマホで実家の神社道場に連絡を済ますと、
地下大阪城の陰陽師犬坂に電話を掛けた。
「梅田でも吸血鬼に襲われた。
今もコウモリが飛んでいて、監視されているかもしれない。」
『そうですか。
ではまた襲われるかもしれないので帰ってきてください。』
「尾行されてもいい?」
『ご自宅へは戻れないでしょう?
おそらく犬塚さんも監視されてます。
うっとおしいので退治してやりましょう。』
「わかった。では戻る。」
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