梅田ラビリンス

梅田迷宮編

「先に梅田にスマホや財布を取りに行っても?」


「良いでしょう。

犬神さん、

我々の存在を世間から隠す必要は有りません。

一番いい装備を持って行って下さい。

また吸血鬼が襲ってこないとも限りません。

装備の説明は乙姫さんに聞いて下さい。」


『とりあえず食事にしましょう』

犬神は乙姫の案内で食堂へ向かった。


犬神も乙姫も料理は出来ない。

犬神は仕方なくバナナを食べた。


「食堂って言うけど、料理を作る人は居ないのか」


『居ません。

ここの食材は座敷童が持ってきた物です。

我々は彼女のおかげで、お金も食べ物も困りません。』


「料理する神様は居ませんか、、」


『、、冷蔵庫に牛乳ありますよ』


犬神は冷蔵庫から牛乳とオレンジジュースを取った。

牛乳はすぐ飲んで、

オレンジは持ったまま武器庫へ向かった。


「鎖帷子ある?」

『甲冑はお嫌いですか?まあ良いのがあります』


犬神はなんとなくだが目立つのを嫌った。

単なる黒いパーカーと黒い布パンが有った。


『甲冑ほどの防御力は有りませんが、決して破れません。

ゆっくりですが傷や骨折を治療し、痛みも和らげます。』


『コウモリ対策で魔除けの笛持っていきましょう。』


『あと小太刀と同じ金剛力が得られる木刀とかどうでしょう。

吸血鬼の心臓に突き刺せば倒せるかも。』


「例の甲冑の小手を使いたい。」


『身体強化は得られませんが、いいですね。取ってきます。

靴は安全靴が有ります。暗視サングラスもよければ。』


犬神は準備を終えると、

最後にパーカーのポケットにオレンジジュースを入れて、

地下駐車場へ向かった。


『電動バイクなんてどうでしょう?』

犬神は金田のバイクを連想したが、

ハーレーだった。



河童と鬼の発生から1日。

夜の梅田は静かだった。


自衛官と警察官と人間の死体しか見当たらない。


河童や鬼の死体は、半日で灰となって消えていた。


地下は河童がさまよう迷宮。


剣士犬塚は地下鉄天満橋から入り、

ミナミへ向かっていた。


キタは人々に任せよ、との伏姫の指示であった。

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