大阪城攻防戦5 義の犬神

長柄橋の鬼の拠点内は、昼間の淀川河川敷のような場所だった。


服装髪型からして昔話に出てきそうな人々が居て、

忙しそうに作りかけの橋を工事している。


触れることはできず、こちらに気付く者も居ない。まぼろし。

青鬼を探していると青い肌の男が橋脚に拘束されているのが見えた。


武士風の男が青い男を殺害した。

途端に青い男が青鬼となり、周りの人々が赤鬼に変化する。


昔なんらかの冤罪が有ったのだろうか。

しかし青鬼討伐が目的である以上、戦うしかない。


元大工だった赤鬼達が襲ってくる。

武器は金棒では無く、大工道具や木材。


犬神は走り回りながら積極的に切りかかった。

囲まれているわけでもなく、連携もない、烏合の衆だったのだ。


ノミや金槌が恐ろしいスピードで投げつけられるが、全て無視した。

木材で殴られても、木材が折れた。

武装に頼って守りは捨て、如何に切るかに集中して走り回り殲滅する。


最後に残った赤鬼は、青い男を処刑した刀を振り下ろしてきた。

避けなかったので兜に当たり勢い余って地面を削った。

相打ち上等、首を切り飛ばした。


最後に残った青鬼は人柱のごとく橋脚を支えていた。


首を取ろうとなぎなたを振るう。

青鬼が一切抵抗を見せない。

犬神はなぎなたを寸止めしてしまった。


お互い微動だにしない。

状況は全く変化しない。なんのイベントも起きない。数分が経った。


犬神はこのまま帰って、元の扉から出たらどうなるのか考えていた。

赤鬼を殲滅した事で仇を討ち、無念を晴らしたのではないのか?


犬神は青鬼を見逃し拠点を去ることにした。


もと来た木扉を潜り、現世に戻ることはできた。

木扉を見張る。

もう鬼が湧いてこないことを願った。


ほんの数秒で赤鬼が扉から湧いて出た。金棒を持っている。

後ろから首を切り飛ばした。


見逃しても籠城組が倒すのだろうが、責任を感じたのだ。

もう一度、拠点へ入っていく。


拠点内では同じ光景が繰り広げられた。

人々が鬼に変化する。


犬神は頑丈さと素早さに任せて青鬼のもとへ向かい、首を切り飛ばした。

赤鬼の攻撃が収まるか期待したが無駄だった。

なにもかも無駄に思えた。


襲い掛かる赤鬼共を殲滅する。

静かになったところで、むなしく青鬼の首を拾い拠点を後にした。

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