第3話 公園にて
烏の鳴き声と、チャイムが鳴っても帰らない子供たちの声で満ちた公園に俺はぽつんと座り込んでいた。もうどれくらいここにいるのだろうか。自分でも時間感覚が麻痺してわからない。それも、レイジスリーピネスとやらのせいなのだろうか。果たして俺は寝ていたのだろうか。それとも何かもっと恐ろしいことでも起こっていたのだろうか。わからない。起きていないとわからない。寝ていては脳が働かない。それが一番怖い。せめて誰かが側にいてくれたら。しかし、自ら一人になる選択をしたことを思い出し、自身の情け無さを声を上げて悔やんだ。どうしてこうも突然に謎の病に苛まれなければならない?どうして神様は一部の人間だけを虐げる?美しいというより、世の悲しみに濡れて滲んだような赤黒い空を
嗚呼、もう帰るか。
このままでは友達ともろくに関わることができない。取り敢えず踏み出さなきゃ。その一心でベンチから立ち上がると、子供たちのサッカーボールがこちらに転がってきた。
「ごめんなさい!」
「大丈夫。はい」
そう言って僕は優しくボールを蹴り返した。
ポケットに手を突っ込むと、寝ないように意識を集中し、慎重にゆっくりと家路を辿る。
(今日の夕飯は何かな?)
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