第124話 理性崩壊……!?(愛花7泊目)


 愛花の裸体を見てしまったせいで、俺の計画は完全に破綻はたんした。


 ふと気づいた時には、既に愛花はお風呂の中でシャワーを浴びており、俺は急いで洗面所へと向かい、ドライヤーで髪を乾かしながら歯を磨いていたのだが、その間にも先ほど見た愛花の裸体が脳内で何度も再生されてしまい、気が付けばボケェっと鏡の前で惚けてしまい、時間を要していた。

 そして、我に返って急いで歯を磨いていると、こんな時に限って尿意にょういが襲ってくる。


 俺は歯を磨き終え口の中を濯いでから、忍び足でトイレへと向かう。

 お風呂の方からは、湿った空気が漏れてきており、心なしか愛花の甘い匂いが漂って来ている。

トイレに入る前に、チラっと風呂の方を覗くと、ドア越しに愛花がシャワーを浴びているシュルエットが見えた。


 俺はこれ以上見てはいけないと首をブンブンと横に振って、トイレに駆け込んだ。

 ここで一発抜いちゃおうかとも考えたが、そんな時間はないと思い、踏みとどまった。

 

そして、トイレを済ませて次は洗濯の予約をしようと頭の中で考えながらドアを開けた時だった。

 向かい側のお風呂のドアも開かれて、愛花が風呂から出てきた。

 その瞬間、俺はもろ、艶やかな愛花の裸体をこの目で見てしまった。


 お互いに「あっ……」と口を開けてしばし見つめあう。

 すると、愛花が小悪魔的な笑みでニコっと微笑んだ。


「っ……!」


 俺は我に返り、ぱっと逃げるように視線を逸らして部屋へと戻っていく。


 ヤバイヤバイヤバイヤバイヤバイ!! マジで限界なんだけど! これ以上、何かあったら本当に我慢できる自信がねぇ!


 もうこうなったら、洗濯はまた今度でいい!

 もう布団の中に潜ってしまおう。


 そう考えて、目覚ましをセットして、すぐさま自分の布団へと潜り込んで身を潜めて心のざわつきも収める。


 直後、トコトコとした軽やかな足どりと甘ったるい声が聞こえてくる。


「だ~いち! って、あれ?」


 部屋に向かってきた愛花は少々驚いたよう声を上げる。


「大地ー……寝てるの? おーい」

「……」


 愛花は俺に呼びかけてくるが、反応せずに無視し続ける。


「むぅ……」


 すると、愛花は少し拗ねたような声を出したかと思うと、そのまま俺の布団の前まで来て……


「ていっ!」

「ヴッ……!」


 反動をつけて思いっきり俺の身体の上に乗って来た。その衝撃を受けて、思わずうめき声を上げてしまった。


「ちょ、愛花……」

「なんだ、やっぱり起きてんじゃん」


 俺は布団の中から顔を出して、布団越しに俺の身体の上に乗っかっている愛花を見る。

 そこにいたのは、何故か制服姿で俺を見下ろしている愛花の姿だった。


 ドライヤーで髪を乾かしてないためか、その濡れた髪が制服のブラウスを濡らしていた。そのせいで、愛花のブラウス越しに白い肌が透けて見える。


「なんで制服?」

「だって、こっちの方が大地は興奮するでしょ?」


 蠱惑的こわくてきな笑みを浮かべて、愛花が見計らっていたようにスカートの袖口を掴み自らペロリとめくり上げる。

 その瞬間、白くしなやかな柔らかそうな生足の太ももが目の前に現れて……


 それを見た瞬間、俺の頭の中でプツンと糸が切れたような音がした。そして次の瞬間、俺の身体は制御を失い、さっと起き上がってそのまま愛花に思いっきり抱き付いた。

その流れのまま、手を下へと下ろして、愛花のお尻や太ももを鷲掴みながら愛花の匂いを嗅ぎ始めてしまう。


「キャッ……だっ、大地!?」


 突然の奇襲に、流石の愛花も驚いたのか多少戸惑い交じりの声が漏れる。


「愛花っ……愛花……!」


 俺は息を荒くしながら、ひたすら愛花の身体をまさぐった。


「んんっ……大地……あっ……♡」


 愛花は徐々に甘い声を出し始める。その声がさらに俺を助長し、激しく身体を触りまくる。


「いやっ……そこぉ……あっ……ダメェ……♡」


 愛花の身体がビクビクっと震え、制服に染みこんだ汗の甘酸っぱい香りと、お風呂上りの甘い香りが、俺の頭の中に充満する。もうこんなの無理だ……!


「ちょ……大地!?」


 俺はそのまま愛花のお尻を掴んだまま押し倒す。押し倒された愛花は、驚いたような表情を浮かながら、無防備に手を上に上げている。


 それを見て、何を思ったのか、俺は愛花の無防備になっているなだらかな胸元へ顔を埋めて、スリスリとし始めた。


「ひゃっ! 大地……ダメェ……そこ擦れて……♡」


 微かな膨らみとお腹の柔らかさを堪能していると、何かプツン突起のようなものが俺の頬に当たる。


「アァッ……♡」


 すると、愛花が今日一番の嬌声を上げた。

 俺は調子づいて、さらにわざと擦れるように激しくスリスリする。


「あっ、いいっ……ダメぇ! アッ♡」


 俺はそれを聞いて、最後に思いっきり擦り上げた。


「ああぁぁん~♡」


 ビクっと身体を震わせて、愛花はぐったりと脱力してしまう。


「だ……大地ぃ……♡」


 甘い吐息を吐きながら、頬を紅潮させて、涙目交じりのトロンとした目で見つめてくる愛花。


 そんな愛花の姿を見て、俺はふと我に返ってしまう。


「……っ……」

「だい……ち?」


 俺は一気に血の気が引いていくのを感じた。

 何とか口元をもにゅもにゅと動かして言葉を探す。


「あっ、そっ……えっ……そのっ……」

「??」

「ご……ごめんっ!」

「えっ!? 大地!?!?」


 俺は咄嗟に愛花の元から離れて、もう一つの布団の毛布を被りうずくまった。


 やっちまったぁぁぁ!!!

 完全に人生終わり、THE ENDだよこれ!!

 何も言い訳が出来ない。やってしまった。

 愛梨さんという人がいながら、他の女の子に、しかも年下の女子高生に理性を失ってあんなことをしてしまうなんて……!


 俺が自暴自棄に陥っていると、はぁっとため息が聞こえてきた。


 そして、「意気地なし……」っとちょっぴり拗ねたような愛花の声が聞こえてきて、その言葉が俺の心にずきりと突き刺さり、俺のライフはゼロになった。


 しばらくすると、愛花はスッと立ちあがり、俺の背中を人蹴りしてから、洗面所の方へと向かって行った。



 ◇



「だ……大地ぃ……♡」


 私は獣のように獰猛化した大地の前に為す術なく弄ばれ、ただ身体を縮こまらせて大地を見つめることしかできなかった。そんな私の視線も、どこかぼやけているように感じる。


 すると、情熱的な視線で私を見つけていた大地の目が一瞬和らいだ。


「……っ……」

「だい……ち?」


 どうしたのかと様子を窺っていると、大地が何か言いたげに口元を動かす。


「あっ、そっ……えっ……そのっ……」


 そして、大地がギュっと目を閉じながら言ってきた。


「ご……ごめんっ!」

「えっ!? 大地!?!?」


 そして、大地は私に覆いかぶさっていた身体を離し、スルっと反対の布団へと転がって行き、そのまま毛布へ包まってしまった。




 えっ……



 は、はぁぁぁぁぁぁ!!!????



 どういうこと? 

 え、なんでぇぇぇ!?!?



 何で襲ってくれないのぉ!!??



 私は心の中でそう憤慨する。

 大地が珍しく肉食系になったと思ったのに、まさかそこで普通正気に戻る!!?

 だとしても、そこでやめる!?

 男としてそれはどうなの!!?


 私は怒りを通り越して、呆れ果ててしまっていた。

 盛大なため息を吐いてから、くるまって穴に潜っている状態の大地に言ってやる。


「意気地なし……」


 大地は何も反応せず屍のようにうずくまっていたので、私はまたも大きなため息をついてしまう。


 にしても……さっきまでの大地、本当に凄かったなぁ……


 完全に私を性対象の目で見ていた。ただのメスだとしか思わず、野獣のように私の身体をただ獣のように求めていた。


 あの時、大地が我に返ってなければ……私たちは今頃……

 そんなことを考えると、ポっと身体が熱くなるのを感じた。

 心なしか、胸の辺りがむず痒い感じがする。


 制服着替えに行こう。

 私は立ち上がり、その場から立ち上がって制服を着替えに行く。

 去り際に、大地の身体にけりをお見舞いしておいてあげる。


 バーカ……


 にしても、さっきの大地は本当に凄かった……もう何もかも忘れて、ただ大地に滅茶苦茶にされたい! そんなことを思っちゃったよ……


 私は再び身体が火照ってくるのを感じ。


「また……してくれないかな……」


 そんな独り言をぽそっと脱衣場で呟いていた。


 そんなことを口走った私は、思わず自分の頬を抑える。さらに身体がムズムズと疼いてきてしまった。


 戻る前にトイレに行こう……うん、そうしよう


 ムズムズと火照った身体を癒すため、私はそのままトイレへと駆け込んでいった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る