第77話 おっぱい敗北宣言(優衣4泊目)

 バイト終わり、アパートの前で愛梨さんと萌絵を見送ってからアパートの階段を登り、廊下の一番奥にある俺の部屋に到着して、鍵を差したその時だ。

 ドスドスと隣の部屋から物音が聞こえたかと思うと、ガチャっという音と共に優衣さんが部屋から飛び出してきた。


「あ……」


 俺は優衣さんの姿を見てようやく気が付いた。そうだ、今日は月曜日だ。最近よく優衣さんと夜ご飯を食べていたので、俺の帰りが遅くて心配してたのか……


「もう大地くん~どこいってたのぉ~」


 優衣さんがサンダルを履いて出てきた。そして、そのまま俺に抱き付いてくる。


「どわっ!」


 俺は優衣さんを抱き留める。すると、お酒臭い匂いが漂ってきた。おそらく飲んだっくれていたのだろう。


「ごめんなさい優衣さん。今日バイトだったんですよ」

「一言くらい連絡入れてよもう~寂しかった~」

「すいません……」


 優衣さんは甘えるように身体を俺に預けてきた。

 体の柔らかい部分が色々と当たって困るが……まあ、今回は俺が悪いので大目に見よう。


「だーめ。許さない~そんな大地君にはお仕置きしちゃうんだから~」

「あ、ちょっと……」


 優衣さんは俺の首を掴みながら、自分の部屋へと連れ込む。

 なすがままに優衣さんの家の玄関に連れていかれると、ようやく掴んでいた首を解放してくれた。

 酔っぱらっているため力の加減が出来ない優衣さんに首を絞められ、窒息するところだった。俺は思わず自分の首を抑えて喉の調子を確認する。


 靴を脱ぎ部屋の中へと進む、優衣さんの部屋に来るのは引っ越しの片づけを手伝った時以来だった。部屋のタンスは開けっ放しで、衣服が散乱し、ベットの上には雑誌が置きっぱなしで、机の上には大量の缶ビールの空き缶が散乱しており、生活感溢れるあまり綺麗とは言えない感じの部屋であった。


 俺が部屋の様子を眺め、苦笑してため息をついた次の瞬間、いきなり優衣さんが俺の顔を思いっきり押さえ、身体に押し付けてきた。その方向は、やっぱり大きいおっぱいの方で……俺の顔は優衣さんのおっぱいへと吸い込まれた。


 勢い余って胸で、一度ポヨンと顔がはねた。そして、再び柔らかい膨らみへと吸い込まれていく。息苦しくなり、手をアワアワとさせてしまう。


「はぁ~大地くんの顔胸に押し付けるの、なんか私の方が癖になっちゃってる気がする~ほらほら、大地君もいっぱい堪能して~ギュ~」


 さらに押し付けられて、息がヤバイ……どうにかして回避せねば……

 気持ちいい優衣さんのおっぱいの渦に飲みこまれながらも、なんとか呼吸をする方法を模索した。

 そして、俺は優衣さんの力が少し緩まったところで、一気に顔を上に向けた。

 ズルっと向き出た枝豆のように優衣さんの胸に埋もれていた顔を出して息を吐いた。


「ぷはぁ……」


 すると、顔を上に向けた瞬間、優衣さんと目が合った。

 ヤベェ、今の一部始終全部見られた……


「ンフフ……なに? そんな満足そうな表情しちゃって~」


 意地悪そうな笑みを優衣さんは浮かべながら、完全に俺を見下していた。


「しょうがないなぁ~もう。ほらまた『ぷはぁ~』ってしちゃいなさい!」

「うわっ……」


 俺は再び顔を押さえつけられ、優衣さんのおっぱいに押し込まれた。

 ダメだ。完全に優衣さんに主導権を支配されてしまい、俺は快楽に任せるようにプルプルと揺れるおっぱいに顔を埋める。


「行くよ~せ~の!」


 すると、優衣さんの合図と共にパッと俺の顔を胸から離す。

 その瞬間、俺も息を求めて再び上を向く。


「ぷはぁ……」

「はぁ~大地くんの顔可愛い……!」


 優衣さんのは俺の表情を見て悶絶していたが、俺は一体どんな情けない表情を浮かべているのだろうか。

 まるで拷問をされている受刑者のような罰にも関わらず、拷問の内容が天国みたいなご褒美なので、よく分からない状況であった。


「は~い、じゃあもう一回!」


 そして俺は、意識が朦朧としてきた中、再び胸の中に顔を埋める。

 もう頭の中は、優衣さんのおっぱいに顔を埋めることしか考えられないくらいに支配されていた。


 しかし、優衣さんの胸に埋まりながら失われていく思考の中で、パッと頭に浮かんだのは、愛梨さんのムスっとした顔だった。


 俺は一瞬、愛梨さんに謝っても許されない行為をしてしまっていると、心苦しく思ったものの……そんな心苦しさも浄化されるように、優衣さんの胸の気持ちよさに浸り切ってしまっていた。

 ごめんなさい愛梨さん、やっぱり優衣さんのおっぱいには勝てないです~


「ほら~じゃあ、行くよ~さんはい!」

「ぷはぁ~」


 敗北宣言を心の中でしながら、俺は再び優衣さんに力の抜けきった情けない表情を見せるのであった。



 ◇



 朝目が覚めると、見知らぬピンクの世界が視界一面を覆っていた。頬にはプニプニとした柔らかい触感の物が当たっており、紫色の布のようなものがプニプニした物体を覆うようにコーティングされているのが確認できた。


 徐々に思考が回復してくると、俺は下着姿の優衣さんのおっぱいの中に埋もれている状況を理解する。

 顔を上に向けると、優衣さんが気持ちよさそうに寝息を立てて眠っていた。そして、ここは優衣さんの部屋で、今はベットの上で一緒に眠っている状態であることも把握した。


 昨日あれからというもの、気を失うまで結局優衣さんのおっぱいでぷはぁしていたわけだが……今も優衣さんのおっぱいから離れたくないと感じている自分がいると思うと、俺はとんだおっぱいフェチなのではないかと思い、ため息が漏れる。

 すると、優衣さんがモゾモゾと動いて吐息を吐いた。


 俺はスルスルっと身体を優衣さんの顔の方へと動かして、毛布から脱出する。

 優衣さんがショボショボと目を開けた。丁度俺の顔が目の前にあり、優衣さんと目が合った。

 しばらくお互いに見つめ合っていると、優衣さんが一気に目を見開いて飛び起きた。


「うわぁぁ!!! って大地くんか!びっくりしたぁ……」

「おはようございます優衣さん、昨日はぐっすり寝れました?」

「うん。もうぐっすり! 大地君はその……私のおっぱい堪能した?」


 やっぱり昨日のこと覚えてたのか……ワンチャン酔っぱらってたから忘れてくれてないかなと思ったけど……


「そこはよく寝れた? って聞くところなんじゃないですかね……」

「あははは! だって大地くん私のおっぱいに顔埋めて満足そうにしてたから」


 優衣さんは頭を掻きながら、ヘラヘラと笑っていた。


「まあ、気持ちよかったですけど……」

「ふふっ、そっかそっか。全く、正直に言ってくれれば、もう一回してあげようと思ったのに」

「いや、流石にそれは……」

「といいつつ、目線はおっぱいに行っちゃうんだね」

「はっ!しまった……これも優衣さんの戦略的な罠!?」

「何、意味の分かんないこと言ってるの? はぁ~しょうがないな~。じゃ、そんなおっぱい大好きな大地くんに免じて……はい! おいで」


 優衣さんは手を広げ、俺を胸に優しく迎え入れようとしてくれる。

 俺は、もう目線が優衣さんの溢れんばかりの膨らみにしか行かず……気が付いた時には自ら顔を動かして、優衣さんの紫の下着姿の胸に……


「ぷはぁ……」


 と、いいながら自らの意思で埋もれていった。

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