第五章 寝泊り動乱編

第73話 朝おっぱいとノート

 GWが終わりを告げ、いつもの日常が戻って来た。今日からまた毎日のように大学に行かないとならないのかと思うと億劫になる。まあ、GWも休みではなかったんだけどね。

 そんなことを思いながら今日は朝早くから家を出た。

 今日の授業は午後からだが、健太にGW1週間分のノートを見せてもらうために、朝から授業がある健太と待ち合わせをしているのだ。


 玄関のドアを開けて外に出ると、隣のドアも開かれた。

 そこには、スーツ姿の優衣さんが丁度出てきたところであった。


「お、大地くんおはよう。今日は早いじゃん!」

「おはようございます。友達にGWに休んだ分のノート見せてもらうために、早く行くんですよ」

「そうなんだ!」


 優衣さんは話ながら、家の鍵をガチャリと閉めた。

 黒いリクルートスーツを着こなした優衣さんは、スラっとしたタイツ越しの足に、プリっとしたお尻のラインがクッキリと横から見てでもわかった。おっぱいだけじゃなく全体的にエロいなこの人……


「お待たせ~」


 俺がそんなことを思っていると、優衣さんが俺の方に向き直る。


 俺は再び、スーツの下に着こなしているYシャツから溢れ出る二つの膨らみに、目が釘づけになる。

 心なしか、胸のせいでスーツの胸元が余計に開いている気がした。

 俺がまじまじと優衣さんの胸を観察していると、手を交互に交差して、優衣さんが胸を隠した。

 顔を上げると、頬を染めて恥ずかしそうに身体を縮こまらせている優衣さんがそこにいた。


「もう朝からどこ見てんのよ。エッチ」

「あぁ……すいません」


 だってそれは見ちゃうもの、男の子だもん。

 どうでもいいことを思っていると、優衣さんはハァっとため息をついて隠していた手を離して広げた。


「ちょっとだけだからね?」


 優衣さんは手を広げながら、顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに俺を迎え入れる体制に入っていた。

 俺は思わず笑みを浮かべつつ、お言葉に甘えて優衣さんの方へと近づいた。


「ありがとうございます」

「早く……」


 俺は立膝になり、スーツ越しの優衣さんのおっぱいへと顔を埋めた。

 全く、朝っぱらからアパートの廊下で2日連続で、俺は何をしているのだろう……そんなことを思いながらも、優衣さんの胸を堪能する。

 いつの間にか、俺は優衣さんのおっぱいの虜に陥ってしまったようだ。

 優衣さんの胸の心地よさに酔いしれ、満足したところで、ようやく埋めていた顔を離した。


「全くもう……」


 優衣さんは呆れたようにため息を吐きながらも、満更でもない表情をしているのであった。

 俺もまた、同じく満足そうな表情を浮かべているのであろう。

 そんなやり取りを終えて、俺たちは駅へと並んで歩いていった。



 ◇



 優衣さんと駅で別れた後、俺は大学のカフェスペースで健太を待っていた。

 しばらくすると、カフェスペースの扉を開けて健太が入って来た。


「よ、久しぶり大地!」

「おう、悪いなわざわざ来てもらっちゃって」

「いいってことよ! はい、これ一週間分な!」


 健太は一週間分の授業のノートと、印刷したレジュメを渡してきてくれた。


「ありがとう」

「メジュメは基本的に穴埋めのところ入れれば問題ないから」

「マジで助かる。あぁ……そうだ。はい、これお土産!」


 俺は手に持っていた袋を、そのまま健太に手渡した。


「お、サンキュー」


 健太は俺からお土産の袋を受け取ると、袋の中身をどれどれと覗いていた。


「まあ、北の大地で一番有名なやつ。詩織とも分けて」

「わかった。ありがたく頂戴します!」


 健太はお土産の袋を掲げて、満面の笑みを浮かべて感謝の意を示した。


「じゃ、俺は授業があるからまた後で」

「おう」

「あぁ、そうだ!」


 健太はカフェスペースを出ていこうとしたが、突然振り返った。


「GW仕事で、綾香もほどんど大学来れなかったみたいだから、この後ノート見せてほしいってメッセ来てたから、連絡してあげて!」

「おう、分かった……」

「それじゃ!」


 今度こそ手を振りながら、健太はカフェスペースを出ていった。

 健太を見送った後、俺は閑散としているカフェスペースの4人掛けのテーブル席に独占して座った。

 健太から借りた一週間分のノートを広々と広げて、どれから写そうかと吟味する。


「あ、そうだ、連絡、連絡」


 綾香に連絡することをうっかり忘れそうになり、慌ててトークアプリを開きメッセージをを送る。


『健太から一週間分のノート借りたんだけど、綾香今どこにいる?』


 すると、すぐに既読が付き、返信が帰って来た。


『おはよう大地くん。えっとね、図書室の方の勉強スペースにいるよ』


 どうやら綾香は、既に大学に到着しているようだ。俺は、再び返事を返した。


『俺は今カフェスペースにいるんだけど、向かったほうがいい?』


 返信を返すと、2、3分ほどして再び返信が帰ってくる。


『いや、私がもう今向かってるから平気だよ』

『わかった、じゃあ待ってるね!』


 綾香は最後に了解!と書かれた可愛らしいキャラクタースタンプを送って来た。

 俺はそれを確認して、スマホの画面を閉じて、綾香がこちらへ到着するまでの間、先にノートを写す作業を進めることにした。


 それにしても……帰省の間に色々とありすぎて、記憶から薄れてたけど、向こうで綾香とは会ってるんだよな……しかもラブホまで行っちゃったし。

 俺は、北の大地で綾香との出来事を思いだしていた。

 俺の頭にフラッシュバックするのは、ラブホテルのベットで、色っぽい表情をして誘ってきた下着姿の綾香で……


「大地くんが……したいなら……してもいいよ?」


 俺は鮮明に思いだしてしまい、思わず前かがみになってしまう。いかん!この後、綾香と会うのに余計なことを考えてしまったせいで、どうやって顔を合わせたらいいのかわからなくなってしまった。

 こうして綾香が来るまで、ソワソワと落ち着かない時間を過ごす羽目になってしまった。

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