第71話 やっぱりブラコンな妹
妹と幸せなお風呂の時間を過ごし、一緒に添い寝をして妹を堪能しまくり、あっという間に次の日になった。俺は都内へ帰るために、玄関で靴を履き、家族に見送ってもらっているところであった。
「忘れ物ない?」
「大丈夫、ちゃんと確認した」
「お兄ちゃん……夏休みにはちゃんと帰って来てね!」
「おう、ちゃんと帰ってくるよ」
「向こうにいっても元気でね!」
「おう」
俺はポンと大空の頭に手を置いて撫でてやる。
「お兄ちゃん……」
大空は鼻を啜りながら今にも涙を流しそうになるのを我慢して、悲しい表情を俺に向けていた。
「はぁ~ったく、おいで」
俺が手を広げると、大空は俺の胸に顔を埋めて抱き付いてきた。鼻を啜りながら身体を震わせてすすり泣く大空。全く、昨日のお風呂での決意とは打って変わって……どうやら妹のお兄ちゃん離れはしばらく先になりそうだ。
「そろそろ行かないとバス間に合わないわよ」
母親が心配そうに俺を急かすと、大空が物寂しそうにしながらも、そっと俺から離れた。
俯いている大空を俺は覗き込み、ニコっと笑って見せた。
「最後くらい笑ってお見送りしてくれよ。お兄ちゃんもう行くからね!」
鼻を啜りながらコクリと大空は頷くと、顔を上げて、目をこすった後に、ニコっと微笑んで見せた。
「いってらっしゃい、お兄ちゃん」
「あぁ、行ってきます!」
俺も大空に微笑み返して、玄関から外へと足を踏み出した。
「またね~お兄ちゃん~!!」
「またな!」
大空は俺の姿が見えなくなるまで、家の前の道まで飛び出して手を大きく振って見送りをしてくれていた。
俺もそれにこたえるように曲がり角を曲がるまで振り続けて、名残惜しむようにゆっくりと角を曲がった。
◇
バス停に到着して、空港行きのバスへと乗りこむ。2時間ほどバスに揺られて新千歳空港に到着した。
出発ゲートに向かう前に、健太達へのお土産を購入してトランクに詰めた。
保安検査場はGWの最終日ということもあり混雑していたが、なんとか通り抜けて搭乗ゲートへと向かい飛行機の時間まで待った。
搭乗の案内がされて、飛行機に乗りこんだ。行き同様、機内は満席で多くの家族連れが北の大地を楽しんで都内へと帰るところだった。
俺は窓側の席で、北の大地の景色を眺めながら別れを惜しむ。
しばらくすると、飛行機が滑走路へ向けて走りだし、滑走路へと到着した。
エンジン音が一気に大きくなり、全速力で加速し重い機体が宙に浮かび離陸した。
こうして俺のGWの帰省は、様々な波乱の出来事が起こりながら幕を閉じたのであった。
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