7

 明かりのない暗い部屋で恵途は一人うずくまっている。

 外の階段を上る規則的な足音、壁の中の配管を流れる水の音。

 外界の音は閉め切った窓越しに鈍くくぐもって聞こえる。恵途が何やかやと考え込んでいる間に世界は朝を迎えようとしていて、通りを走る車がしきりに路面を擦っていく。

 しばらく毛布を剥いだり被り直したり繰り返していたが、じきに覚悟を決めたのか、むくりと起き上がった。身支度を整えてリュックを背負う。その中には、ようやっと書き上げた物語がしまってある。

 細い廊下を通って玄関から外に出た。籠って暖かかった室内の空気と違い、外の空気は新鮮で冷たい。

 ああ、と声を上げて一つ深呼吸をすると、途中で欠伸になって涙がこぼれた。

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マイドキュメント 傍井木綿 @yukimomen

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