5.天国へのカウントダウンの謎

 この前、今まで見た映画の本数を数えてみたら300本を超えていた。

 

 そのうち140本近くがアニメだったので、今まで見た映画の半分はアニメということになる。

 

 中学生までの私にとって、映画と言えば名探偵コナンだった。


 毎年のゴールデンウィーク頃に家族とコナンを観ることは、我が家の年中行事だったといってよい。その影響もあり、私は名探偵コナンの劇場版シリーズをほとんどすべて観ている。最新作の緋色の弾丸はまだ観れていない。


 20作を超えるコナン映画を網羅したとなると、140本のアニメ映画の7分の1はコナンということになるので、結構な割合である。

 幼少期に繰り返し観たこともあり、劇場版コナンは私の創作に大きな影響を与えている。拙作『MIGHTY MIND』もサスペンス・アクション作だが、劇場版コナンからの影響は大きい。


 そんな劇場版名探偵コナンだが、私はこだま兼嗣監督の初期6作品を特に気に入っている。『時計じかけの摩天楼』から『ベイカー街の亡霊』である。

 なかでも、『天国へのカウントダウン』と『ベイカー街の亡霊』は、最も優れた作品だと思っている。理由は長くなるので省略。

 

 今日は朝から『天国へのカウントダウン』を視聴した。

 ここでは、そのときに思った一つの謎を紹介したい。

 一応、ネタバレになるので注意。


 『天国へのカウントダウン』の舞台は、西多摩市ツインタワービルである。後半では、コナンの宿敵である黒の組織が、ツインタワービル内にあるIT企業トキワコーポレーションのメインコンピューターを爆破する。黒の組織は、その騒ぎに乗じてツインタワービルに来ていた灰原哀を抹殺しようとするのだ。

 クライマックスでは、燃え盛るビルに取り残されたコナン、灰原、少年探偵団が決死の脱出に成功し、黒の組織の灰原抹殺は空ぶりに終わる。


 そして謎が浮かんだのは、クライマックスの後である。


 その時、黒の組織のジンとウォッカはビルの外にいた。ウォッカはビル内にいる何者かの連絡を受けて、シェリー(灰原)の抹殺が失敗に終わったことを知る。


 では、誰がウォッカに報告したのか。それが謎である。


 この話は劇場版限りのものなので、ここでの出来事や裏側がTVアニメや原作漫画で描かれることはない。ゆえに真相は分からない。


 ひとつ考えられるとしたら、都市伝説に依拠せざるを得ない。

 いわゆる、アガサ博士黒幕説である。

 現在では原作者の青山先生が否定しているのでそれはないのだが、当時はまだ、アガサ博士黒幕説が否定されていない。

 

 となると、アガサ博士はウォッカに連絡したあと、コナンたちに白々しく「爆破事件の真相も闇の中じゃのう」と言ったことになる。そうだとしたら大した役者だ。


 『天国へのカウントダウン』は前半に出した伏線をちゃんと後半で回収するように作られた見事な脚本となので、尚更この場面だけが浮いた場面となっている。

 しかし、アガサ博士が黒幕であることを前提にすると、後の展開へのさりげない伏線になる。が、多分そんなことにはならない。


 最も現実的な解釈としては、ビルにいたモブの中に組織の下っ端がいた……といったところだろう。


 いずれにしても、『天国へのカウントダウン』が名作であることは間違いない。


 おや、また「名作」と言ってしまった。名作主義者の片鱗か……。


 


 


 

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