ゲーム解説〈ロアー〉とは?
『LOI WORLD WINTER GAMES〜HOLLY NIGHT INVITATION 5th』
(第五回・ロアー・ワールド・ウィンター・ゲームズ〜ホーリーナイト・インビテーション)
マルチプレイヤー・オンラインバトルゲーム〈レジェンド・オブ・インペリアル=ロアー〉の日本大会、初日。
グループAからDまで全16チームの戦いがスタートして、さっそく激しい火花を散らしていた。
第一日目は、予選リーグの総当たり戦が各グループで六試合ずつおこなわれる。その結果、上位二チームずつが決勝トーナメントに勝ち上がる。
一万人をこえるゲームファンたちは、初戦のプレイ一つひとつについて、マニアならではの目線で仲間とあれこれ論じ合っていた。会場の複数の場所に設置されている大型ビジョンに、ステージで展開されるゲーム対戦の模様が、めまぐるしく映し出されている。見せ場のエリアの攻防戦になると、会場は応援やブーイングの嵐につつまれた。
予選リーグの開始に先立ち、まずチームの各チャンピオンを決定する『アバターセッション』がおこなわれた。
このセッションでは、味方チームの五人のプレイヤーが戦術に合ったチャンピオンキャラクターを獲得するうえで、相手とのかけひきが必要になってくる。
そこでは、相手チームが選択してくるチャンピオンキャラクターを予想して、味方キャラクターとの相性により、「コール」と呼ばれる手段でそのキャラクターを消してしまう(使えなくする)のである。
コールのシステムについては、ここではあえて説明をひかえておくことにしよう。〈ロアー〉ファン以外にはなかなか理解することが難しいからである。そういうルールがあるのだ、くらいに思ってくれればいい。
「チャンピオン」にはおもに五つのタイプがあって、その役割は〈ロール〉と呼ばれる。
〈ロール〉の種類は「オペレーター」「ファイター」「ガード」「ウィザード」「シューター」である。この五つがメインロールで、ほかにもいくつかの特性をもつサブロールが設定されている。
たとえば「オペレーター」の属性はリーダーシップである。チームのチャンピオンたちに効率よく指示を出したり、戦闘の情勢を見きわめて戦略的な攻撃・防御を決定するなど、ゲームのマネジメント能力にすぐれている。
ほかの四人の〈ロール〉は簡単に…
◎ガード=攻撃に強いタフなチャンピオン、防御のスペシャリスト
◎シューター=遠距離からの攻撃に優れるが近接戦闘が苦手
◎ファイター=前線を支えるバランスの取れたチャンピオンだが、同時に飛び抜けた能力はない
◎ウィザード=魔法を使って一気に敵を壊滅させることができるかわりに、敵に接近を許すとあっという間に倒される
などといった〈ロール〉の属性が特徴である。
自分たちのゲームプランどおりに試合を進めるには、250体のチャンピオンキャラクター・リストから、各自の役割ににふさわしい属性をそなえたキャラクターを選択しなくてはならない。
たとえば、戦場の上部にある「アッパーコリドー」に配置するチャンピオン。〈ロアー〉の多くのプレイヤーは、一対一の孤立戦が多いことから近接戦に強い「ファイター」「ガード」のキャラクターを選ぶ。ちなみに、予選グループ第一試合で〈アマテラス〉のアッパーコリドーを担当したヤマトは、「ファイター」の『パイロ』を選んだ。このキャラクターの〈ロール〉は魔法使いの『ウィザード』であるが、『パイロ』は主な属性のほかに、火力を使った攻撃が可能である。
このように求めるタイプのチャンピオンキャラクターをいかにして選ぶか、その選択権をかけたドラフトは、〈ロアー〉マニアにとって醍醐味のひとつなのである。
アバターセッションの制限時間は三十分である。その中で〈コール〉の権利をもつのは、チームで〈ロアー〉の格付けが上位の三人だ。一度決めたチャンピオンは、ゲームが始まると最後まで変更できない。
チャンピオンが決定すると、いよいよゲームスタートとなる。
〈ロアー〉には通常、複数のマップ(戦闘エリア)が用意されている。今回の大会では、もっとも多くのプレイヤーが使用する『インヴォケートナローズ』が採用された。
『インヴォケートナローズ』、一般にナローズと呼ばれるマップは、正方形の形をしたバトルフィールド(戦場)である。
このフィールドの対角線上の角には、「シタデル」と呼ばれるチーム双方の本拠地があって、どちらかのチームが相手の「シタデル」を破壊するとゲーム終了となる。
ナローズのマップ上には、「アッパーコリドー」「ロウワーコリドー」「プロムナード」の三本の回廊に加えて、回廊の間の広いエリアの「フォレスト」が存在している。
これらの領域のどこに何人のどんなチャンピオンを配置するかは、ゲーム対戦の見どころの一つだ。これによって、チームがどんな戦術でゲームを進めていくか、ある程度予想することができるからである。
「ダークタワー」周辺での攻防は、〈ロアー〉で最大の見どころだろう。ミニ兵士の「トゥルーパーズ」を利用して、タワー近くでいかに敵の攻撃をはねのけるか、チャンピオンの能力が試される重要な場面である。
また「フォレスト」に潜むチャンピオン、通称「フォレスター」は、エリア内の様々な場所とタイミングで「中立モンスター」や「オーガニズム=生物」に遭遇する。オーガニズムは、小動物や植物の場合もある。
これらの中立キャラクターに効率よく対応して、アイテム獲得によって大きくレベルアップすれば、〈ガンク〉と呼ばれる回廊への奇襲が効力を増すのである。
さらにゲーム全般を通して、予想を超えるトリッキーな裏ワザも〈ロアー〉マニアにはたまらない見どころとなっている。
とまあ、例をあげればキリがないが、
試合スタート前からすでに戦いが始まる〈ロアー〉に、ファンたちの興味はつきないというところである。
会場のアリーナ以外でも、世界中でeスポーツファンが試合を夢中になって観戦している。
なかでも世界最大のゲームチャットサイト〈ツイッチ〉には、様々な国のギーク(ゲームオタク)たちが参加する。ゲーム実況を見ながらあれやこれやと大騒ぎして盛りあがる、というのは〈ロアー〉マニアが大会を観戦するときの基本パターンだ。
つまり〈ロアー〉の大会とは、数百万、数千万というゲームファンを巻き込む、まさに一大イベントなのである。
〈レジェンド・オブ・インペリアル=ロアー〉とはどんなゲームなのか、大まかに知っていただけただろうか。
できるだけわかりやすく解説したつもりではあるが、なにせ大規模なゲームなのでこれ以上簡単にのべることは難しい。なので少しだけでも知識を得てもらえれば、この先の対戦を理解する役には立つに違いない。
世界でなぜ一億人ものゲームファンが夢中になるのか、その魅力を少しでも理解していただければ幸いである。
〈ロアー〉は細かくて無数の選択肢があるゲームではあるけれども、プレイそのものはシンプルなので、ゲームを見る側には楽しいことだらけである。
両チームのプレイヤー五人が、自分の好みによって「チャンピオン」のキャラクターを決めることはすでにのべたとおりである。
決定のさいに基準となるのは、チーム内での役割優先や、または見た目が好き、など人によって様々なのだが、そのへんはプレイヤーの経験やレベルによるだろう。
〈ロアー〉に用意されているキャラクターが250種類あることは先にのべたとおり。プレイヤーそれぞれが、ゲームプランと自分のチャンピオンの〈ロール〉に合った特性をそなえるキャラクターを設定すればいい。
最終目的は、敵の「シタデル」を破壊
することだ。その目的をとげるには、チャンピオンの攻撃力アップと頭脳戦による、レベルの高いチームワークが必要不可欠である。
相手のチャンピオンはもちろん、ミニ兵士の「トゥルーパーズ」との戦闘や、行く手に立ちふさがるタワーなどの障害物。それを撃破していくプロセスには、それこそ無数の攻略パターンがある。チームのプレイヤーどうしが連携することが重要であり、それこそが〈ロアー〉というマルチプレイヤーゲームの大きな楽しみなのだ。
それでは、引き続き〈アマテラス〉の第二試合を中心に物語を進めるとしよう。戦いはますます激しさを増していくことになる。
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