第32話ドルオタ、ギャルにかこまれる
杉本晴夫のためのショッピングをすませた高城は、阿佐ヶ谷駅近くのデザイナーズマンション『リュミエール・デユ・ソレイユ』の駐車スペースに車を乗り入れた。一階部分の奥まった空間に駐車場があって、そのため雨風から車を守ってくれる。キーをロックして、二人で玄関口に向かった。
「ここがダニエルさんの住んでるとこですか」晴夫は、外壁が扇状に湾曲したマンションを見上げている。
「陽光」を意味する名のこの建築物は、三階建ての低層デザイナーズ物件である。外装は、シンプルなコンクリートの打ちっぱなし。JR阿佐ヶ谷駅そばの国道427号線から、やや奥まった坂道の上にある。
ここ十数年は、JRの駅から南方面の丸の内線『阿佐ヶ谷南駅』周辺が人気なのだが、高城はショッピングのために隣駅の高円寺によく行くので、JRの駅近くのこのマンションに住んでいるのだ。
オートロックのキーパッドに暗証番号を入力して、高城は晴夫と一緒に建物の玄関を抜けた。
「ふえ〜っ!めっちゃお洒落じゃないですか!」と晴夫は声を張りあげた。「マンションの中に木が生えてますよ。さすがデザイナー、こだわってるなあ」
このマンションの敷地は扇型になっていて、中庭に芝生と樹木が植えてある。どの階からも緑が見えるように、オーナーが気を利かせたらしい。
「そうかい?」と高城は晴夫に笑顔を向けた。晴夫のことはことみの親友というのもあって、まるで弟みたいで可愛くてしょうがない。性格が真っ直ぐなところも好感が持てる。「ぼくタワーマンションとか苦手なんだよね。高いところが嫌いっていうのもあるけど、感性とかクリエイティビティがないと、毎日暮らしてて飽きちゃうんだよ」
「ちなみに、家賃はどれほど‥」と言いかけて晴夫は口をつぐんだ。初めて招待されて、いきなりたずねることじゃないと思い直したのだ。
「25万円だよ」と高城は、晴夫の話をつないだ。楽器店の息子は目をひんむいている。「高いと思うかもしれないけど、ここは事務所代わりだから、経費で落としてるの。それに駅から近いわりには静かだしね」
高城は晴夫をしたがえて、らせん階段をのぼっていった。晴夫が興味津々に建物を見回している。
「杉本くんて、職人派かたぎなとこあるよね?」と高城はふり返って言う。
「初めて見るものは、すべて調べないと気がすまないたちだろ」
「あっ、それよく言われます。えへへ」晴夫は頭をかいて照れ笑い。「オタクのくせというか、納得いくまで突きつめないと気がすまないなんです。うちの店で有名なミュージシャンの楽器いじってるせいもあるかなあ。クソ親父、じゃなくて社長も、上っ面なめるだけじゃだめだって毎日言ってますよ」
「親父さんの言うこと、まさに正論だね。ぼくはオタクの子たちの生き方、素敵だと思うなあ」と言いながら、高城は部屋の鍵を取り出した。「デザインや芸術全般に言えることだけど、自分の好きなことや気に入ったものには、無条件で情熱注げるだろ?人生には限りがあるんだから、好きなものはとことん極めなきゃ」
「ですよね。おれはまだバイトの身ですけど、いちおう指名で頼んでくれるアーティストもいますんで、楽器のスペシャリストになりたいです。なんて、偉そうですよね」と言って、晴夫はまた頭をかいた。
「おっ。さすがは2代目。いつか店を継ぐ日が楽しみだね」高城は鍵を回して、重い鉄の扉を開いた。「さあ、あがって。ぼくの部屋、気に入ってくれるといいけど」
「おじゃましま〜す」
玄関はシンプルかつアンティーク調のインテリアで統一されている。壁にアートパネル、靴箱の上には鍵など小物をいれるステンドグラスの器、小さい観葉植物の鉢植え、天井から2本のペンダントライトがぶら下げてある。
広いスペースの片隅に、赤いレザートップのアンティークチェアがあり、玄関のアクセントとなっている。大きなラグマットはメキシコ製。
そんなこだわりのインテリアだが、いちばん目立つのはおびただしい数のスニーカーだ。上がりかまちだけでも30足、焦げ茶色の靴箱の中には、100足以上のスポーツブランドが並んでいる。半数近くが限定版もので、未使用のものが多いのは、高城がスニーカーのコレクターだからである。
「ダニエルさんスニーカー好きなんですね」色とりどりのブランド品に見とれていた晴夫が、靴を脱ぎながら聞いた。
「カルテックっていうアメリカの工科大学時代に、スケボーやっててさ。その影響もあってハマっちゃったんだよね。さあ、どうぞ入って」
白い壁と、北欧柄の青いロングカーペットの廊下が、広いリビングルームに続いている。
リビングには、対面式のキッチンカウンターや、10人は楽に座れるドイツ『HUKLA』社のコの字型のソファー、65インチの有機EL液晶テレビなどが目立っている。
逆に、広さのわりにほかにこれといった大きなインテリアがないのは、あっさりした空間が高城の好みだからである。
「いまドリンク取ってくるから、ソファーに座ってて」と言うと、高城はテレビのリモコンを操作して、EDMのミュージックビデオを画面に呼び出した。「まだ早いから、お酒はいらないだろ?」
「あ、はい。じつはおれ、酒あんまり飲めないんですよ」と晴夫は恥ずかしげに答えた。
「あれ?この間のフェスのときは、かなりシャンパン飲んでたじゃないか」冷蔵庫からペリエの炭酸水を取り出すと、グラスに注ぎながら高城は言った。
「あれはですね、クリオネ‥じゃないジェニファーに飲まされてたんですよ。あ、ありがとうございます」グラスを受け取ると、晴夫はペリエに口をつけた。「あいつ、新成人のくせにめっちゃ酒強いんですよね。飲め飲めって迫ってくるんで参りましたよ」
「あはは。ジェニファーちゃんて、いろんな意味で個性的なんだね」高城は晴夫のとなりに腰をおろした。「彼女、すごいお嬢様なんだろ?フェスの帰りにリムジンが迎えにきてびっくりしたよ」
「あれはほんの一部分ですよ。話によると、成城のお城みたいな家に住んでるらしいです。執事と運転手もいて、父親と兄貴は、ロンドンの法律事務所で何とかって偉い仕事やってるって‥あれ、なんだっけ?」晴夫は首をかしげた。
「パートナーだろ」高城が言った。
「そうそう、それです!とにかく、すべてが僕ら平民と同じ人間とは思えない暮らしぶりなんですよね。あいつがちょくちょく人を見下したような態度になるのは、そのせいなんです。やりにくくてしょうがないですよ、もう!」日頃からジェニファーに振り回されている晴夫は、ほとんど苦情に近い口ぶりである。
「僕が思うに、彼女は寂しいんじゃないかな?」高城は晴夫の顔を正面から見つめた。「そういう境遇の友だち、学生時代に何人か見てきたからね。共通してるのは、セレブゆえの孤独かな。きっと、彼女は気楽に接することのできる友だちに飢えてると思う」
「そんなもんなんですかねー。なら、もう少ししおらしくすればいいのに。素直じゃないんですよ、あいつ」
「でも、ことみさんと杉本くんには懐いてるじゃないか。3人でいるとき、彼女はそんなに高飛車なお嬢様に感じないけどね」高城は笑顔を浮かべて言う。
「あ、僕たち共通の趣味があるんですよ。ユメノココロちゃんていう、バーチャルユーチューバーのアイドルおたくなんですけどね。にしても、最近あいつよく電話してくるな?」
「ひょっとして、君のこと好きなんじゃないか?」高城は晴夫のふいをついた。「アルティマの時もわざわざ隣に座って、さかんに話しかけてたじゃないか」
「いやいや、それはないですね。あいつのことだから、おれのこと家来くらいにしか思ってないですよ」晴夫の口ぶりは、やけに確信めいている。
「まあ、まだ20歳だからね」と高城。「大目に見てあげなよ。僕らよりうんと若いんだから、みんなの妹みたいに可愛いがってあげなくっちゃ」
と、そのとき高城のスマホがLINEの着信を告げた。パンツのポケットから取り出して画面を見ると、橘ちなみからだった。高城は通話のマークをクリックした。
「早いじゃないか。もう阿佐ヶ谷に着いたのか?」と言うと、高城はスマホを手で押さえて、晴夫に "ちなみんからだ" とささやいた。
「そうなの。ライラさんたちと一緒」とちなみは言った。「健二くん、お酒買っていこうか。人数多いみたいだから、足りなくなるんじゃない?」
「それは言えてるな。頼んでいいかい?」
「わかった。スピリッツとシャンパン適当にみつくろっていくね!」
「ありがと。じゃあ、待ってる」と言って、高城はLINE電話を切った。
「女の人たち、もう来るんですか?緊張するなあ」晴夫は身体を震わせて言った。
「大丈夫。アルティマでもう顔合わせしてるし」と言って、高城は安心させた。「そういえば、杉本くんてちなみんと同い年じゃなかったっけ?二人とも26歳だろ」
「はい、そうです。ことみとも一緒なんで、よく覚えてます」と答える晴夫の声は、やけに嬉しそうだ。
と、またLINEの着信音が鳴った。メッセージだ。今度は誰だ?おっ、ことみさんだ‥‥
"お店の仕事、早めに終わりそうなので、七時頃にうかがいます"
"わかった。君のファッションコーデ楽しみにしてるよ"
"脚が丸見えなので恥ずかしいです"
"大丈夫。外はまだ暑いから、気にする人はいないよ。でも、電車だから、他の人に可愛い姿見られるのは嫌かも"
"えっ、そんなこと言われると困っちゃいます"
"あ、ごめん。でも本音だから"
"は、はい。じゃあ、阿佐ヶ谷駅に着いたら電話します"
コメントの終わりに、アニメ風の女の子のスタンプが押された。ははあ、これがユメノココロちゃんだな。「楽しみ」というセリフが書いてある。これは、彼女なりの気持ちの伝えかたなんだろう。そう思うと、よりいっそうことみに対するいとおしさがこみあげてきた。
でも、相変わらず態度が硬いなあ。いつになったらタメ口きいてくれるんだろう。まあ、そういうところが可愛いくもあるけれど‥
「ことみですか?」と晴夫にいきなり言われたので、高城はドキッとした。
「あ、ああ。七時頃に来るって。なんでわかったの?」
「ダニエルさん、顔に出てますよ」と言って、晴夫はニヤニヤしている。
「まいったな。親友の君にはバレバレか」高城は、晴夫のように頭をかいて照れ笑いをした。
「あいつも幸せもんだなあ。ダニエルさんみたいな、ハイスペックで優しい男の人に好かれて」と言うと、晴夫は高城に向かって真剣な表情を見せた。「ダニエルさん。ことみのこと、幸せにしてやってください!あいつ今まで恋愛経験ないから傷つきやすいけど、すごく純粋でいいやつだから。小さいときに父親亡くしたせいか、すっかり内気になったみたいなんです。でもダニエルさんが恋人なら、苦労してきたお母さんもきっと喜ぶと思います」
晴夫のいつになく強い口調に、高城は心を揺さぶられる想いだった。
「ああ、ことみさんのことは僕がしっかり支えるよ。親友の君の期待に応えられるようにがんばる。力の限り、彼女を守っていくつもりだ」と言って、高城はペリエのグラスをかかげた。
ピンポーン!
「おっ。来たな」シリアスな会話から一転、高城はソファーから立ち上がると玄関へ歩いていった。
扉を開けると、露出度の高い服装の女の子たちが4人、ワイワイ騒ぎながら玄関になだれ込んできた。
「はーい健二!スンマ!」と明るい声をあげて、コロンビア人のマリアが踊っている。
「いえーい!健二くんお久〜」gogoダンサーユニット『ピーチ』のリーダー、ライラこと川原木ひかりが、残るメンバーの美弥と腕を組んであいさつした。
「健二くん、お酒買ってきたよ。おじゃまします」橘ちなみがリカーショップの袋を渡した。「あれ、もう誰が来てるの?」
「ああ。ちなみんと同い年の杉本くん。覚えてるだろ」高城は4人を招き入れた。
「あっ、ジェニファーちゃんのお友だちでしょ。もちろん覚えてるよ」
「あれえ。やっぱり彼女インパクトあるんだな。杉本くんは、どちらかといえば田中ことみさんの友だちだぞ」
「だって、ジェニファーちゃんお人形さんみたいで、めっちゃ可愛いんだもーん」とちなみは顔をほころばせた。
「ま、いいや。とにかく入ってよ」高城は女性たちのドリンクを用意するために、冷蔵庫の扉を開けた。
美形のギャルモデル風の女性4人が、ドヤドヤとリビングに押し寄せた。ちなみとライラは、晴夫をはさむ形で腰をおろした。晴夫は緊張で女の子たちの顔が見れなかった。この時ばかりは酒が欲しかった。しかたなく前を向いて、ペリエをごくごくと流しこむ。
「杉本くん。今日はジェニファーちゃんと一緒じゃないの?」橘ちなみが晴夫のほうを向いてたずねた。
「え?あ、あとで来ると思います」いきなりちなみに声をかけられて、晴夫はしどろもどろになってしまった。
「杉本くん敬語なんか使わないでよ。同い年なんだから、あたしたち」というちなみの表情は、晴夫にとってこの世のものとは思えないほど可愛いかった。「田中ことみさんも一緒だよね」
「そうですね。メダカは童顔なんで歳下に見られるんですけど、僕と同じ月の生まれです」晴夫は相変わらず前を向いたまま答えた。
「メダカ?それって田中さんのこと?」ちなみが首をかしげている。
「あ、気にしないでください。仲間うちのあだ名なんで‥」
「ねえねえ!じゃ、はるちんのあだ名なんていうのー?」反対側からライラが声をかけた。ノリのいいライラは、すでに晴夫に "はるちん" というあだ名をつけている。
ライラ服装に、晴夫は目のやり場に困ってしまった。肩を出したオフショルダーのライムグリーンのトップス。露出したお腹のへそにピアスが飾ってある。下はジーンズの短パン。素肌の美脚があらわになっている。
「はるちん今日はなんだか見た目がイケてるねー。あ、バレンシアーガのキャップ、あたしももってるよん!」
「あ、これダニエルさんが買っくれたんですよ。ぼくいつもダサい格好してるんで」と、晴夫は申しわけなさそうに言った。
「ファッションなら健二くんにまかせておけば安心だよん。なんてったってプロだからねー」と言うと、ライラは美弥とマリアにの方に向き直った。
「おいおい。みんなして杉本くんに迫るなよ」高城がドリンクを運んできた。「彼はギャルにはまだ慣れてない純真な青年なんだぞ。ことみさんの親友なんだから、お手やわらかに頼むよ」高城は4人のドリンクをテーブルに乗せる。
「おー、ことみ!あの目がくりんとした可愛いらしい子ね」とマリアが言う。「めっちゃ優しくて性格のいい子。美弥もそう思うよね?」
「うん。私たちのまわりにはいないタイプだよね」
二人はドリンクを手に取って、そのあともことみの話で盛り上がっていた。
「はるちんさー、ちなみんと同い年だから気が合うんじゃない?LINE交換すればいいじゃん」とライラが言って、晴夫の肩をぽんぽんとたたく。
「えっ。いや、とんでもないっす!ちなみさんみたいなモデルとLINE交換なんて、ぜったいありえないですよ」晴夫は、美形の女子たちの攻撃にタジタジになってしまった。
高城の電話にLINEがきた。
「おっ、ジェニファーお嬢様が来たみたいだぞ」と言うと、高城は窓際の方へ近づいてマンションの下を見下ろした。
画面にジェニファーからのメッセージが入っている
" ダニエルどの、いま着いた。そなたの部屋はどこだ? "
" 302号室だよ。部屋番号押してくれればオートロック開けるから "
" 了解した "
「みんな、見てみろよ」と言って、高城は全員に声をかけた。
「え、なになにー?」4人が窓から下を見下ろす。
前回お台場のEDMフェスティバル『アルティマジャパン』のあと、ロールスロイスのリムジンが迎えにきて帰っていったジェニファーを見ていたので、彼女たちはすっかり興味深々である。
「今日は白いリムジンだよ」とちなみが言う。「すごーい!」
「ちょーセレブだわー。あたしたちとはレベルが違うよね」とライラ。
見ると、黒い礼服に身を包んだ男性が、扉をあけてうやうやしく頭を下げている。学校の制服を着た小柄な女の子がおりて、その男性に何やら話しかけている。
「あれ、執事なんですよ」と晴夫はあとから加わって、みんなに説明した。「あいつ、生まれてから一度も電車に乗ったことないらしいですよ」
「えーっ!どんだけー!」女の子たちがいっせいに叫んだ。
「最近は、おれとメダカで世間のありようを教育してはいるんですけどね。なにしろ生まれた時からあの調子なんで、手を焼いてますよ、ほんと」さっきまで緊張しっぱなしだった晴夫だが、ジェニファーの話題になるとスラスラと言葉が出てくる。
ソファーに戻ると、ちなみが晴夫にたずねた。「ねえ杉本くん。ジェニファーちゃんとどこで知り合ったの?」
「新宿の楽器店です。まあ、話すと長くなるんですけどね」と晴夫は言いながら、クリオネが後輩を引き連れて突然あらわれた日のことを思い浮かべていた。「トラブルです、はっきりいって。衝撃的でしたよ、あはは」クリオネが現れたことで、晴夫は心なしか気分がほぐれた気がした。
インターホンが鳴った。高城はモニターでジェニファーの顔を確認すると、入口のロックを解除した。
玄関の扉を開けたままにして待っていると、黒服の男性につきそわれて、ジェニファーがやってきた。
「ここにはエレベーターというものがないのか?」開口一番、ジェニファーが非難めいた口調で高城を見上げる。
「ここは三階建てだからね。疲れただろ。さあ、みんな待ってるよ」高城は、純真女学院の制服に身を包んだ美少女を招き入れた。
「すまぬ。世話になるぞ」と言うと、ジェニファーは一緒に来た初老の男性に向き直った。「園田。われは今日、門限より遅くなるから、帰っておれ。追って電話する」
「お嬢様、お母様にはなんと‥」
「なにも言うでない!どうせ騒ぎたてるだけだ。うまく言いつくろっておけばいいではないか。そのくらい自分で考えろ」ジェニファーはぷいと顔をそむけて、部屋に入っていった。
「では、お嬢様をよろしくお願いします」男性は高城に向けて深々と頭を下げて、去っていった。
「はあ〜っ。すごいお嬢様ぶりだな」高城は、なかばあきれながら部屋に戻った。
「あーっ、ジェニファーちゃんだ!」と歓声があがった。女の子たちがジェニファーの登場に沸きあがった。
「ああ。久しぶりであるな、皆のもの。相変わらず派手な召し物だが」
「あはは!あたしたちギャルモだからね」とライラが笑った。
「ギャルモ、なんだそれは?」ジェニファーは首をかしげた。
「まあまあ、それはいいから座って」と、ちなみは席をあけた。
「おっ、ウナギ。そなたも来ておったのか?」晴夫を見てジェニファーが言う。
「あたりまえだ。一番のりだぞ」と言う晴夫は、ジェニファーの登場にホッと息を吐き出した。超美形の女子たちに囲まれて、いささか参っていたところだった。
「すまぬ、ちなみどの。そこに座らせてたもれ」と言うと、ちなみの前をすり抜けて、晴夫のとなりに腰をおろした。
「おい、何でわざわざおれの隣にくるんだよ?」晴夫が言う。「ライラさんとちなみさんにはさまれて、せっかく天国なのに」晴夫は、安堵を隠してジェニファーの肩をつついた。
「うるさい!どこに座ろうとわれの自由だ。いちいち騒ぐな」
二人のやりとりを見ていた女の子たちが、お互いに目を合わせて、微笑ましい表情を浮かべている。そして、声を合わせて‥‥
「ジェニファーちゃん、晴夫くんのこと好きなんでしょ!」
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