第31話 二人のパンチェン・ラマ11世①

 世界には、パンチェン・ラマの生まれ変わりと言われる人物が二人いる。

 ひとりは亡命チベット政府が認めた少年。そしてもうひとりは中国政府が認めた少年である。

 ひとりは6歳で行く不明となり、ひとりは現在、チベットのゲルク派の最大の寺院であるタシルンポ寺の主になっている。

 中国政府は亡命チベット政府が生まれ代わりと認めた少年をその存在もろとも否定していたが、チベットの民は、彼のことをみんな知っていた。

 チベットの民に二人の少年の写真を見せ、どちらが本当のパンチェン・ラマか尋ねると、ほとんどの民が、行方不明の少年の写真を指差すと云う。


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