第27話 もうひとりのジョンジュン④
ソヨンはソウル大学を卒業した後、アメリカへ留学した才媛で、誰からも一目置かれる、秘密特殊機関の情報分析官だった。
ソヨンは自分の直感が初めて外れてくれることを願いながら、中国にいるとされるジョンジュンのことを慎重に調べていった。イヤな予感がしていた。あまりに重要であまりに悲惨な分析結果に、ソヨンは結論を出すことをためらった。
そして上司により詳しい情報を集めるために、中国へ飛ぶことを願い出た。
「この緊迫した状況で、きみが抜けては困るよ、ソヨン。絶対ダメだ」
しかしソヨンハ引き下がらなった。
「私たちがかくまっているジョンジュンにも影響が及ぶかもしれない、とても重要なことなんです。中国にいるジョンジュンが何者なのか、結論を出すにはやはり、自分の目と耳で確認しなければなりません」
「中国政府が保護している人間だ。行ったとしても、簡単に会える人物ではないだろう」
「はい、わかっています。それでも彼に関する生きた情報を集めることができるかもしれません」
「もうだいたいの結論はでているのだろう? 彼は誰なんだ? その答えによっては、中国行きを考えてみよう」
「彼は、たぶんゲンドゥン・チューキ・ニマだと思います」
「ゲンドゥン・チューキ・二マ? 聞きなれない名前だが・・・」
「チベット政府が認めたチベット仏教の高僧の生まれ変わりで、6歳で中国政府に拉致され、それからずっと行方不明になっているパンチェン・ラマ11世と思われます」
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