第7話 王朝の後継者①

 かの国は現在、建国の父である偉大な指導者K・I の血筋ではあるものの、正当な後継者とは言えない者が国を継いでいた。

 偉大な指導者K・Iが後継者と決めていた孫は、あるとき継母の計略にはまり、軽はずみな行動の末、国家元首である父親の信頼を失くしてしまい、義弟に後継者の座を奪われてしまった。そして国外へ追いやられた。

 義弟は自分の権力を強化することに奔走した。自分の敵となりうるものを次々と粛清していった。そして国政に口を出そうとしたものは実の母親であろうと、容赦しなかった。彼は自動車事故に見せかけて実の母親を殺した。そしてそのことが、その若き後継者に歯止めの利かない残忍さと狂気をもたらした。

 彼はついに正当な後継者である腹違いの兄を殺す命令を部下に下した。

 そして腹違いの兄は暗殺されたのだが、その現場の近くに実はジョナサン・リーと世界各国の諜報部員もいたのだ。なぜならその朝、腹違いの兄はかの国の敵国に亡命することになっていた。その計画は周到に練られたもので、絶対に失敗してはいけない案件だった。しかしなぜか情報が漏れ、そして暗殺事件が起きた。それはいまだに謎であった。

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