第2話 初出勤 ①
公益勤務先として指定された住所の場所へ初めて行った時、彼は目を疑った。
どう見ても、誰も住む者がいないようにしか見えない、古い洋館があるだけだったからだ。とりあえず呼び鈴を探してみたが、見当たらない。しかし指定された集合時間は差し迫っていた。
住所をもう一度、確かめてみたが、間違っていない。
彼はついに建物の中へ入って行く決断をした。
幽霊でも出てきそうな、不気味な洋館だったが、勇気を出して玄関の扉を開け、おそるおそる一歩、二歩と建物の中へ歩を進めていった。しかしその時である。突然、扉がギッーと鋭い音を発し、振り向くと、無情にもバタンと言う大きな音をたたて閉まってしまったのだ。
もはやそこに広がっているのは、漆黒の闇だけだった。
時間が迫っている。初日から遅れるわけにはゆかない。
彼はどこかに電気のスイッチがあるかも知れないと思い、手で壁を探ってみた。 しかしそれらしきものはない。
時間だけがどんどん過ぎてゆく。
すでに彼は軽いパニック状態にあった。
それでも前へ進まなければと思い、暗闇の中へ歩を進めていった。
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