コードネームは「モナリザ」

来夢来人

第1話 美少年スター

 上司は彼のことをモナリザと呼んだ。

 実際、彼はルーブル美術館に飾られているダビンチの名作「モナリザ」のように、美しかった。彼はこの世の奇跡と言えるぐらいに、美しかった。

 それもそのはず、彼はかつて一世を風靡した美少年スターで、『21世紀のタジオ』と呼ばれたこともあったのだ。天使を演じた時の彼は、この世のものとは思えない美しさで、見る者を圧倒した。

 その美少年スターの国では、成人男子は2年間の兵役義務があった。その少年スターもすっかり大人になり、兵役につかなければならない年齢になっていたのだが、ずっと兵役は先き延ばしにされていた。しかしあるときついに、彼も徴兵されることとなった。しかし彼の場合は、本人が希望していた現役入隊ではなく、遺伝性疾患のため代替の公益公務員勤務となった。その遺伝子疾患はとてもデリケートな問題を含む遺伝性疾患であったことから、病名を公表しないことを彼は選んだ。そしてそのことで彼はネットで大バッシングを受け、非難されることとなった。

 そのバッシングのせいで、彼は勤務先でより慎重にならなければならなかった。上司や指導教官に対して、対等ではなく絶対的服従を強いられる立場での勤務が彼を待っていた。




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