第42話 知らされる事柄と最も危険な力 下

 『ファンタスティックシティー』での出来事を報告した後、アイゼンからアサトらに話があるとの事で、大きなソファーにアサト、アルベルトが座り、その向かいにシスティナとアリッサが座り、その間に保護した子供らが座った。

 アイゼンの向かいの一人用のソファーにクラウトが座り、アサトらの後ろにインシュアとタイロンが立っている。


 「君たちがいない内に2つの出来事が起きた」とアイゼン。

 「…あぁ、1つは何となくわかるがな…」とアルベルトが答え、「…それで、一番、重要と思う方から話せ」と付け加えた。

 「どれも重要だ…」とアサトを見て…重いため息をつくと話し始めた…。


 その内容は…。


 …夕暮れが近付き始めた『デルヘルム』

 アサトらは、アイゼンの話しを聞いて、重い足取りで建物を出た。


 「クラウトさん…」とアサト。

 その言葉に目を閉じ、「クレアシアンの件もある…。また、先ほどの話しも…、」と言葉にすると目を開けて、「…これから、立て続けに解消しなければならない事が山済みだな…」と言葉にするとアサトを見て、「…ただ、アイゼンさんの判断は、僕は正解だと思う」と言葉にした。

 「…皇女の件ですね」とアサト。

 「…そうね。私たちが行って何かできるかと言えば…」とアリッサが言葉にした。

 「あぁ…それよりも…これは、国を二分する大戦になりかねないのは確かだな」と言いながら踏み出し始めた、すると、遠くから大きな声で叫びながら走って来る者が見えて来た。

 「あぁ~さぁ~とぉぉぉぉぉ」と叫んでいるのは…ケイティである。

 ケイティは、髪も顔もぐしゃぐしゃにしながら、こちらに向かって猛スピードで駆けて来ていた。

 その表情を見て…。

 「ケイティ…かなり心配していたもんね…」とアリッサがつぶやいた。


 ケイティの後ろからは、ジェンスやセラの顏も見える、そして、チャ子の姿も…。


 ケイティは、アサトの傍に来ると小さく飛んでアサトに抱き着いた。

 その後方からセラとジェンス、そして、チャ子がアサトらの傍に着く。

 「あさとぉ…アサトォ…」とケイティが泣き始めている…と言うか、もう泣いているんだけど…。


 涙と鼻水が一緒になって、顔を大きく崩して泣きじゃくるケイティ。

 そのケイティを不思議な表情で見ている、セラとジェンス、そして、チャ子の姿がそこにあった。


 「もう大丈夫だよ、ケイティさん…。僕は、ちゃんと…」と言葉にする。

 「あぁ…、約束通り、生きて連れて帰って来た」とアルベルトとインシュアが建物から出てきて言葉にした。

 その言葉を聞いて、大きく頷きながら…。

 「ウン…ウン…」と頷き、アサトの顔を見て、「ほんとに良かったよぉぉぉぉぉぉ」と再び泣き始めた。


 いやいやいやいや……。


 アサトは笑みを見せながらケイティを軽く抱きしめる。

 「ほんとに心配かけたね、ごめんなさい」と言葉にして小さく瞳を閉じた。

 しばらくして、ケイティを離して一同を見る。


 「今回は、本当にお騒がせいたしました」と大きく頭を下げた。

 その行動に笑みを見せる一同。

 アルベルトは舌打ちをしていたが…。


 頭をあげたアサトは、再び一同を見る。

 クラウトはメガネのブリッジを上げ、アリッサは目頭を拭い、システィナは胸に手を当てて小さく頷いている。

 そのそばでタイロンが腕組みをしていて、その脇にぐしょぐしょになって泣いているケイティがいた。


 その隣には、不思議な顔をしてケイティを見ているセラとジェンスがいて、少し遅れてテレニアが口を押さえてこちらに向かってきていた。


 そして……。

 チャ子は、首を傾げてアサトを見ていた。


 …チャ子は……。

 いつもとかわらない…チャ子がそこにいた…。


 アサトはチャ子を見て笑みを見せる。

 その笑みに返すチャ子…。


 そのチャ子が………。


 チャ子から視線を移し、空を見上げた。


 その空はオレンジに染まり、夏の高く、晴れ渡った空が、何も変わらずにその場にあった…。


 ここに来た時と…同じく………。




 …時同じくして、『レッテウ山』の山頂付近。


 「…ったく…なんだったんだ?このチ○コマニア!」と何故か裸のグンガが、あだ名を付けた、巨体の上で腕組みをして見下ろしていた。


 「まぁ~だ、笑っているぞ!」と隣に裸のガリレオが立って見下ろしている。


 その二人を見上げて、「…今回は、俺も大人げなかったが…」と裸のフレディが言葉にすると、「…なんで、僕まで?」と裸のグラッパが、キュウリを食べながら言葉にした。


 その4人を見ていたオレンは、うっすらと妖艶な笑みを見せながら…。


 「ミーシャ…、そろそろ仕上げにしましょうぉ…」と言い、手にしている箱を開けた。

 その箱には、ペンダント4個と指輪が2個入っている。

 その物へと視線を移し、小さく意味ありげな笑みを見せ、目元を怪しく緩ませた。


 「そう?」とミーシャは、裸のままの姿で、オレンの背中に胸を押し付けながら外の4人に目を向ける…。


 「…あれ?なんの罰ゲーム?」と驚いた表情でミーシャが言葉にする。

 「…そうねぇ…、彼らがいままで行った悪行の罰ぅ…じゃないかなぁ」と小さく笑みを見せた。

 「…まっ。グンガらだからね…」と言いながら、冷ややかな視線で4人を見つめた。


 「…とにかくぅ…これで、彼らは、この世界でぇを手に入れた事になるわぁ」と妖艶な笑みを見せた。


 その先には、何も知らずに腹の上で飛び跳ねている、裸で頭部の髪が刈り取られているグンガと、裸で頭部の髪が刈り取られているガリレオ、そして、それを見ている裸で頭部の髪が刈り取られているフレディ、その後ろにきゅうりを食べている裸で頭部の髪が刈り取られているグラッパがいて、その4人を呆れた表情で見ているレディGの姿があった……。


 そして…いよいよ…始まる………ってか…なんで裸?。

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