第36話 『強い』と言う意味の解釈… 下
エイアイは目を閉じ。
「どの世界においても…主人公はすべてのモノであり、わき役なども…すべての者…」と言葉にする。
「その者らが交じり合うから…物語になる。君がもし、この世界で最強と言われる者で誘われたら…」とアサトに聞く。
「…それは…どうなんでしょう」と答えるアサト。
エイアイはシスティナを見る、システィナも小さく首を傾げた。
「そう、それが力なき者が経験をして今に至っている事…」と言い天井を見たエイアイは、何かを考えたのか、ゆっくり視線をアサトに向け…。
「ここには多くの若者がいて、日々研究や開発に勤しんでいる。だが、彼らにも命があり、知性がある…そして、欲求も…、その事がストレスを生む、そのストレス解消の為に、古の遺物を与えた」と言いシスティナを見て。
「ゲームやアニメ、そして、映画だ…」と言葉にした。
その言葉に『?』を出す2人。
「うぅ~ん。そうだな…絵が動くと言えばどうかな?」とエイアイ。
その言葉に『?』の2人。
「絵が動いて…」とシスティナが言葉にすると、「ゲインツは何か見せなかったか?」と聞く。
「そう言えば、なにか画面に女の子が映し出された…あれは絵ですね」とアサトが言葉にした。
「その絵が動いて、君たちのような旅をして、悪人と言われるモノを殺して歩く…声も出るぞ!」と言うと…。
「貧乳は…悪…」とアサト。
その言葉に…。
「あれは…まずかったな…」とエイアイが頭を掻いた。
「そのアニメでは、君たちのように召喚や転生をして異世界で活躍するアニメもあった。その主人公たるものは、強い力を持っている者が多にしてあった、だがな…そのアニメを見て子供たちが言った言葉はみな同じだ…」と言うと、アサトとシスティナを見て…。
「『こんなに最初から強ければ…旅はつまらないし、楽しくも無い…作者のエゴだね…』と…、または、客観的に言う者もいた、『もう、こんなに強かったら、戦う相手は強いのだけで…物語は続かないね』と…」とアサトを見た。
「君は、強いの意味を知りたい…そして、この世界にどう生きるか決めたい…。」と言葉にする。
その言葉に頷くアサト。
「それが…物語なんだよ…、そして、彼女やうしろにいる者に会えた…、彼女らもただ君と一緒にいる訳では無い…彼女ら自体の物語の上で君に出会い、共にしている」と言いシスティナを見た。
「それが物語…。君が主人公で、彼女らが主人公…君らに力がない事を幸いと思った方がいい。その力をつけて行く段階を君らが楽しめる。死を越えた時に笑いが込み上げて来る…。その笑いは本当に腹から笑っている笑い…。君らに最初に聞いた、この世界をどう思っているか?の答えは…君らが見つける答えと私は言いたかった。」と言い立ち上がり。
「ナガミチと言う者が言った」と言葉にする。
「その人…」と目を丸めるアサト。
その表情を不思議そうな顔で見るエイアイ。
「僕の師匠…です。」と言うと、生気のない瞳の瞼が小さく開き。
「な…なんと!」と声を上げ…、「これもまた…物語!」と言葉にした。
「なら君も聞いていると思う。最初からどうにかなるなんて都合のいい現実は無い…」と言いアサトを見ると…。
「我々は…現実を生きている…。物語ではなく、架空で主人公だけに都合のいい現実を生きているのではない…誰にでも訪れる、死と隣り合わせの非情な世界に…生きているんだ…」と重く言葉にすると、小さくぎこちない笑みを見せ。
「これが私が捕らえたこの世界だ、君らにはこの世界がどう見えるか…旅の果てに、帰ってきたら、僕に聞かせてくれないか?君らの旅と君らがこの世界をどう思うか、そして、君が見つけた『強い』と言う答えを…」と言葉にした。
そして…。
「意味がわからないか…」とエイアイは言葉にすると小さくうつむき。
「そういう解釈も留めておこうかな…」と小さく言葉にした。
その後、アサトの採血を行った。
レンコはエイアイの娘と言う話だったが、エイアイには生殖能力が無く、古の時代に冷凍保存されていた精子が、北の国ロッシナ帝国領地にある、とある場所の永久凍土に眠っていたのを掘り出して保管していたそうであり、その精子を使い、産まれた子供のようであった。
使うと言っても、その方法は、卵子を取り出し、その卵子に精子を受精させ、そして…女性のお腹に戻す…と言う事である。
古では体外受精と言っていた。
その卵子を提供した者の存在をシスティナが危惧をしていた。
強制的に行ったのではないかと…。
しかし、このエイアイにも妻がいて、その者と恋をして結ばれ、その結果、子供を授かったと言っていた。
レンコの他に兄が2人いて、1人はロッシナ帝国領地の街で医者をしている。
もう1人は技術者で、フーリカにて科学の研究をしているようであった。
来年もう一人子供が出来るとの事であったが、その子供の精子は、古では有名なボーカリストであるようで、今度は音楽を広めたいとぎこちない笑みを見せていた。
クレアシアンとの関係を聞くと…、彼は、彼女をビジネスパートナーと呼んでいた。
彼女から情報を得て、その報酬にこの街で培った技術で造られた物を渡す、または、古の遺物、その模造品などを提供して、相互に利益をえる関係を持っているとの事であり、この沼、いや、湖なのだが、この湖に毒を流しているのもクレアシアンで、この毒は街に入ってこないように、ルーンを刻んだ塔を街の外周に配置してあるとの事、他にもリンデル導師と言う賢者がナガミチの依頼でルーンを刻んでいるようである。
システィナの魔法に関しても教えてくれた。
この魔法は、古の魔法。
本来の魔法の形なのだと言う。
魔法の種類は、大きく分けて2種類、『黒魔法』と『白魔法』があるようである。
『黒魔法』は攻撃に特化しており、『白魔法』はサポート系に特化しているようだが、特化だけであって、『黒魔法』でもサポート系の魔法、『白魔法』でも攻撃魔法の類を、使えないと言う事はないようである。
その2種類から、『黒魔法』では、闇系や光系、火焔系、水系、そして、土系と5系統に分かれる。
『白魔法』では、緑や青、そして、赤、白、黄色などの色系の系統に分かれるようであった。
今、この世界での魔法使いの職業は、いわばなんちゃって魔法だと言う。
古の魔法を使用した時に、空中に魔法の元素が飛散し、近くにある岩などに付着すると、その付着した元素が、同じ属性の魔法元素を取り込み始め、魔法石になると言う。
また、錬金術師が行う魔法石製作は、あらかじめ、魔法石を砕いた時に出た魔法石のかけらを溶解して、石に作り上げるとの事である、なので、錬金術師の力量に左右されるようであった。
システィナは、『黒魔術』系の闇属性魔法が使える古の遺物を貰ったようである。
丸に▽の入ったペンダントトップが古の遺物であり、『黒魔法』系はペンダント、『白魔法』系は、指輪のようであった。
その遺物を持っていると、一度、トリガーとなる言葉を放つと呪文で魔法を発動することができ、現在、使える魔法は28あると言う事であるが、通常使う魔法は、その内の4~6個ほどで、熟練する事により威力が成長するとの事であった。
ただ、今は、威力を付ける為に、細く短い棒状のロッドを使用するみたいである。
”闇と光の神に仕えし、ドラゴニアの神よ…”が闇の属性を発動させる言葉のようであり、光系も同じ言葉を発するようである。
クラウトは『白魔術』に白の属性を持つアイテム、指輪を貰ったようであり、まだ熟練度が足りないので、クラウトも、細く短い棒状のロッドで威力を増幅しているとの話であった。
その魔法は、サポート系の魔法であるようだ、また、治癒とかも出来るとの事である。
テレニアは、緑の属性、通称“エルフの属性”を持っているとの事であった。
…そう言えば、ナガミチの家でクレアシアンに襲われた時…。
テレニアが、…エルフの神と唱えていたとうっすらと思い出していた…。
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