第35話 『強い』と言う意味の解釈… 上
アサトは、エイアイがいなかった時の事を掻い摘んで話した。
クレアシアンの血を飲み、そして…とそこは言わなかったが…。
とにかく、彼女の話しでは、病原らは、彼女の血の中にある魔が食いつくし、首にある固まりは少し時間がかかると言う話をした。
にわかに信じられない話だったが、血色を失っていた肌も赤みを戻している事や、目の力にも、改善の兆候が見えるといい、明日、朝にでも血液検査をしてみると言う事であった。
そして…。
「ここは…なんですか?」とアサトが聞く。
その問いに、「ここは…病院だよ」とエイアイが答えた。
「病院…」とアサト。
その言葉に、「そう、わたしの専門だ…」と言うとマスクを外し、そしてメガネを外した。
「え?」とアサト。
システィナは目を見開いて口を押さえた。
「ははは…そんなに驚かないでくれ」とエイアイは、ぎこちない笑みを見せた。
口の動きは滑らかだが、どこか自然な動きではない。
肌の感じも白いが質感は…人の肌と同じよう…で、同じではない…。
瞳も…生気のない瞳であり…。
「驚くのも無理はないね…、わたしは、人ではない」と2人を見て、「私は、アンドロイド…artificial intelligence type100114だ。」と言葉にする。
その言葉に「?」の2人。
「知的能力と言う、処理能力…を、自分で考え答えを導き出すロボットだよ」とエイアイ。
その言葉に「?」の2人。
「まぁ…なんというか…」と説明に困るエイアイ。
そのエイアイに、「専門って言っていましたよね?」とシスティナが質問をした。
その問いにシスティナを見て。
「そう、僕は病気や生物学を基本プロセスに持った人工知能である」と言うと、腕の白衣を上げて腕を出し、小さく叩く。
すると、その近くで長さ10センチ幅5センチ程が開いた。
その中の薄いモノを取りだして、「これがメモリーカード」と見せる。
そのカードを見て2人は「?」。
「…そうだね…、このカードには、多くの情報が蓄積されていて、その情報を僕が読み取り、そして形にしている…。と言うのもおかしいが…。基本プロセス以外でも、このカードで情報を読み取り、技術や知識を提供している者だ…。」と言うと、「提供?」とアサト。
「まぁ~、詳しい事を説明すると長くなるし、まだ…、理解出来ないと思う…そうだ!」と天井を見上げて、「この明るいモノは知っているか?」と聞く、その言葉に、「ハイ…以前、『カオス』の村で見ました」とシスティナが答えた。
「そうか…ゲインツの所か…」と言葉にする。
「あっ。そう言えば不死族…というか」とアサト。
そのアサトを見て、「不死族?」とエイアイが言葉にする。
「はい…以前聞いた話だと…不死族の錬金術師と…」とアサトは不思議そうな表情を見せた。
「…いやぁ…、そうか…、まぁ…アイゼンらは、私の事を……。」と言いながらぎこちない笑みを見せる。
「?」とアサト。
「まぁ~、言われれば…私はある意味、『不死族』なのかもしれない」と目を閉じ、「私は、半永久的に死と言うモノを迎えない」とアサトを見た。
「迎えない?」とアサト。
「うむ、君たちが心臓や脳…などの臓器を持ち、心臓が止まれば死を迎える…、だが、私にはそれがない。」とぎこちない笑みを浮かべ、「私は、半核融合で動いている、それが心臓と言うのなら、その半核融合が止まったら…」とシスティナを見る。
見られたシスティナが、「死ぬんじゃ…ないですか?」と聞く、その言葉に首を横に振り。
「いや…新しい体に、今の情報を移すのだよ」と言葉にした。
「…それって…」とアサト。
「そう、永久に生きれるんだよ…」とエイアイが2人に向かって言葉にした。
「どんな構造で、どうして、そうなるのかわかりませんが…」とアサト。
「…わたしも…」とシスティナ。
その2人を見て、「あぁ…、そうだね。だから『不死族』のモノでいいよ」とぎこちない笑みを見せた。
…それで…いいのかな…。
エイアイはその後、この街の事を説明してくれた。
この沼は、南側が海に面しており、その近くに小さい原子力発電所を設けている。
以前は天然ガスや火力発電を行っていたが、今では、化石燃料で燃料を作り出すプラントに変更している。
この街には、約2万人が住んでおり、日々研究や開発などを行っているようである。
エイアイがここに来た時に、この国で後の教授と言う、偉い人?を50名育成したようだ。
分野も様々で、医療や工業系が主であったが、個々の考えを聞き、その者が目指したモノのヒントを与えて日々研究をさせていたようである。
それは、先ほど見させてもらったメモリーカードで情報を読み取り、その情報をさりげなく流すような事を繰り返し、今、この様な街が出来上がったと言う事である。
ただ、この技術は、古の技術であって、その古の者らが多くの時間を費やしての技術、その技術を簡単にこの世界に流すことはできないと言う事であった、なので、ここで学んだ技術を、街に持って行き、目立たないように発展させるようにしているようであった。
掻い摘んで話はしていたが、詳しく聞いても分からないだろうと笑っていた。
アサトも、システィナも、何を言っているのか、皆目見当がつかない状態であった、そんな2人を見て、「それじゃ…話題を変えよう」とエイアイ。
その言葉に?マークだらけであった2人はエイアイを見た。
「君たちは、この世界をどう見ている?」と聞くエイアイ。
その質問に顔を見合わせる。
「君たちは生と死の間で、命のやり取りをしている…、その時にでも、もっと強かったらとか、最初から強かったら…とか思わないか?」と聞くと、「あぁ…でも、強いって言葉は…」とアサト。
その言葉に、「強いって言葉?」とエイアイが聞く。
「ハイ…僕は、その強いと言う意味を探して旅をしようと決めました…と言うか、この世界でどう生きるか…、その旅には、強いと言う言葉が多く聞こえます。と言うか…、まだ旅はしていないんですが…」とアサト。
「どういう意味かな?」とエイアイ。
アサトはエイアイを見ながら、「意味が…解らないんです…強いと言う意味が…」と言葉にした。
その言葉に生気のない瞳を向け、「強いと言う意味…か…」と考えると、「君は、感情が豊かなんだね」と言葉にした。
その言葉に目を見開き「感情?」と返す。
「今まで多くの者に聞いたら、返ってくる言葉は『もっと強かったら』が多い、それは旅をする、狩りをするには必要な力だ。だが、君はそれを捉えてない。客観的に強いを見ている…と私は思う。その強いの考え方は、時には違った捉え方で感じ、また、別の方向から見た時に感じ…」と言いシスティナを見て、「彼女が、誰かを庇い死に至った…」と言葉にする。
その言葉にシスティナを見る。
システィナは小さく肩をすくめる。
「おおかたは、彼女は弱いから、殺されたんだと考えるだろう…でも、君は、人を庇って死んだことに彼女の強さを感じる…と言う事ではないか?」とアサトに聞く。
その言葉に少し考えて…。
「そうですね…戦いに置かなくても…アリッサさんが、オークプリンスの根城を毎日見て、仲間は生きているって強く思っている姿に…強さを感じた時があります…」と言葉を返した。
その言葉を聞いて…。
「いいかね…、この物語は君の物語…」とアサトを指さす。
そして、「…君は、主人公の周りにいるわき役…」とシスティナを指さした。
「うしろで眠っている者もすべてだ…」と言うと、アサトを見て…。
「…それが君の立ち位置だ」と言う。
「僕が主人公…」とアサト。
その言葉に頷くと、システィナへ指を指し…。
「そして、この物語は…君の物語」と言葉にする。
システィナは目を見開き、「脇…役じゃ…」と言葉にする。
エイアイは、アサトを見て…、「彼女の周りのわき役が君や、君らだ…」と言葉にした。
その言葉に再び『?』が出る。
「じゃ…」とアサト。
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