第33話 病を治すくちづけ… 上

 「え?」とアサト。

 アサトの目の前で微笑むクレアシアン。

 「治せるって…」と言葉にすると、少し離れて「そうねぇ~」と言うと、大きくなったお腹を擦りながら…。


 「おねぇ~さんは、魔の属性…」と言いアサトを見る。

 「魔の…属性?」とアサト。

 その言葉に頷き、「魔は…悪たべるのよね~、大好物。どうしてかわかるぅ?」と聞く、その問いに首を傾げるアサト。

 そのアサトを見て、「だって…悪いモノを食べるのは…力になるからよ…」と言うと、背中を向けた。


 「え?」とアサト。

 クレアシアンはゆっくり手を後ろに持ってくると髪を上げて、「ネックレス…外してもらえる?」と聞いて来た。

 その言葉に、アサトはクレアシアンの首の付け根にあるネックレスのチェーンを見る。

 そして、ゆっくり手を伸ばして、チェーンのつなぎ目と思われる場所にある丸いモノからT状の金具を外した。


 「ありがとうぉ」と言うと、髪から手を放して、振り向きアサトに向かい合った。


 「悪いモノを食べる…とわ」とアサト。

 「そうねぇ~、魔の力は善を取り込むより悪を取り込んだ方が強くなるの…、簡単に言えば…悪は黒、善は白よ…」と言い、ネックレスをアサトに渡した。


 「白は…黒を飲み込むと…黒になる」と言い、右手の親指を立て、その親指に左の人差し指の爪を当てると、小さく呪文を唱え、そして、アサトを見る。

 「黒は…黒を飲み込んでも…黒のまま」と言い笑みを見せると爪を走らせる。

 走らせた親指から鮮血がゆっくりと湧き上がってきた。

 「わかる?ぼうやぁ?…。」と言うと、その血が出始めている親指を自分の唇に塗り。

 「悪いモノが、悪さを増せば、黒がより深い黒になる…魔は、その黒を求めるの…黒を飲み込みたがるのよ…」と言うと、ゆっくり、そして、優しくアサトの唇に自分の唇をつけた。


 その行為の目を見開くアサト…。


 クレアシアンは、ちいさく口を開くと、舌をアサトの中へとゆっくり入れ、アサトの舌先を感じたら、優しくその下に当て、そして、ゆっくりと絡ませ始めた。

 目を細めるアサト。

 クレアシアンは、切った親指をそっと上げ、這わせた舌を引っこめるとアサトの口から、唇を離し、うっとりとした表情でアサトを見る。


 アサトはゆっくり目を開けてクレアシアンを見ると、クレアシアンは笑みを見せながら、切った親指をアサトの口に持ってきて…。


 「さぁ…おねぇ~さんの愛をぉ…受け入れてぇ…」と言葉にすると、その指をアサトの口の中に入れた。

 アサトは、指が入って来ると、先ほどの舌と同様に指に舌を絡める。

 その感触を感じながら、「上手よ…おねぇ~さんを…楽しませてぇ~」とうっとりとした目でアサトを見ていた。


 しばらくその状態が続くと指をアサトから離す。

 アサトは口の中にたまった唾液とクレアシアンの血を飲み込む…と…。


 「さぁ…これで、おねぇ~さんの治療は終わりよ…」と言葉にして背を向け、髪を掻き上げた。

 アサトはその姿を見ると、手にしていたネックレスを見る。


 アサトの手には…、オーブの破片がある…。

 これは召喚のオーブの破片、防御に特化した破片である、タイロンやアリッサが欲しがっていた破片、そして、戦いを優位に出来るし、これを失った彼女を討伐できる…。

 これを彼女に返せば…。


 「あらぁ?これはぁ、あなたの気持ちよぉ…それを私に着けてくれるか…それともこのまま…渡さずに私を殺すかぁ…」とクレアシアンは妖艶な笑みを見せてアサトに聞いて来た。


 …これは…。


 アサトは小さくうつむくと、ネックレスのトップをクレアシアンの手前に持ってくる。

 そのトップを押さえるクレアシアン。


 ネックレスチェーンを掌で滑らしながら、手を後ろに持ってきて、輪にT状の金具を潜らかした。


 「あらぁ?千載一遇のチャンス…だったのにぃ…」とクレアシアン。

 その言葉に、「そうですね…でも、僕を治してくれた…、本当に治ったかはわからないけど…」と言葉にすると、「大丈夫よ…もう、あなたからは…悪い動きは感じられない…でも、その塊はちょっと時間がかかるかも」と振り向いて笑みを見せた。

 「…なぜ、血の病気と?」とアサト。


 その言葉にクレアシアンは、アサトの首に手を持ってきて…。

 「悪いのが体中を走っていたのぉ…だからぁ、血の病気って解ったのよぉ…でもぉ、病名だけは判らないのぉ…」と言い笑みを見せる。

 「そう…なんですか…」とアサト。

 そのアサトに近づいて、「おねぇ~さんと嫌らしいことしたいと思っているでしょうぉ…」と言いながら股間に手を持って来る。

 その行為に小さく顔を背けて、「いえ…」と答えると…。

 「あらぁ~、かわいい」と笑みを見せて近づき、耳元に唇を持ってきて。

 「おねぇ~さん…エッチな事はできないけどぉ…、坊やのこれぇは、気持ちよくして上げられるわぁ~」と言うと、ズボンに手を入れ、アサトの象徴を優しく握る。


 「あっ」とアサト。


 その言葉に笑みを見せると、ゆっくりとしごき始める。

 亀頭の先がにわかに滲みだす感覚があり、陰茎を優しく包み込みながら亀頭に親指を当てて何度か優しく刺激をする。

 アサトは眉間に皺をよせ、初めて味わう女性の優しく冷たい指の当たりに思わず快感を覚えていた。


 クレアシアンは笑みを見せながら、首筋にキスをするとベッドから下りて床に膝を突き、大きくなっているアサトの股間を見ると、ズボンを下ろし、アサトの象徴を出した。

 「元気ねぇ~」と言い、アサトを見上げる。


 恥ずかしさとクレアシアンの妖艶さに我を忘れそうになり、目を強く閉じて、クレアシアンの小さな口が、象徴を銜える行為を待つ…。


 クレアシアンは立ち膝になり、何度かしごくと顔をアサトの象徴へ近づけると……。


 「離れて下さい!」と叫ぶ声に止まった。


 アサトもその声に目を見開く。

 そこには、内側の扉にもたれ掛かりながら短く細い棒をクレアシアンに向けているシスティナがいた。

 片目をとじ、少し苦しそうな表情だが、はっきりとクレアシアンを捉えている。


 「あ…アサト君から…離れてください!」と叫ぶ。


 その声に、笑みを見せながらクレアシアンは振り返りシスティナをみて、「あらぁ?」と言葉を発した。

 システィナはよろけながら中に入って来て、両手で短く細い棒を掴み、そして、力強く

 「あ…アサト君から…離れて!」と一層大きな声で叫んだ。


 その声に目を丸くしたクレアシアンは、アサトの陰茎から手を離すと立ち上がり、「もう…そんなに嘆願されたら、おねぇ~さん叶わないわぁ~」と言いながら笑みを見せて振り向き、両手を伸ばしているシスティナを見る。


 「あらぁ…あなたはあの時のぉ…」と言いながら進みだし。

 「狐の子を守っていた子ねぇ」と笑みを見せた。

 クレアシアンを見ているシスティナ。


 「わたしの魔法から逃れるなって…」と言うと、胸に付いてあるネックレストップに目が留まった。

 そのトップは、直径10センチ程の銀で出来た円に、▽の形が入っているトップである。


 「あなた…と契約をしたのね…」と低い口調で言葉にすると…。

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