第32話 思わぬモノの見舞い 下

 2重の扉の部屋側の扉が開き、ゆっくりと、そして、しなやかにその者が、妖艶な笑みを浮かべて中に入って来た。


 「ク…クレアシア…ン…」と、アサトは呟くように言葉にする。

 その言葉に笑みを浮かべ、辺りをもの珍しそうに伺いながら中に入って来ると、アサトの前に立ち。

 「こんばんわぁ…ぼうやぁ…」と笑みを見せ、うっとりとした声と口調でアサトに言葉をかけた。

 その言葉に窓の方を見る、その行動を見たクレアシアンは、「大丈夫よ、みぃ~んな、わたしの魔法で、朝まで起きないわぁ…」と言葉にする。


 クレアシアンを見上げるアサト。

 その表情を見たクレアシアンは、「なんかぁ…、ちょっと気になる事があって、ここに来てみたらぁ、見た事ある子たちが眠っていたぁ…、何かなぁ~と思って覗いてみたらぁ…そうしたらぁ…」と言うと目尻を下げて…。


 「ぼうやだったのねぇ…」と言いうっとりとアサトを見る。


 「気になる事?」とアサト。

 その言葉に、右手の人差し指を唇に当てて、小さく唇を叩くと、「胸騒ぎィ…みたいなぁ…なんかぁ、呼ばれたって感じぃ…」と言い、当てていた指で唇をなぞり始めた。

 その姿に見とれているアサト。


 そこには大人の妖艶な姿に理性を誘わせるような香りと仕草があり、システィナやケイティ、アリッサらとは違う、女性の艶やかさがあった。

 クレアシアンは、アサトの表情を見ながらハッとした表情に変わり、目を細めてアサトを見る。

 その表情の変化に自分を取り戻したアサト。


 そのアサトに向かい、ゆっくり腰を折りながら首筋に鼻をつけて来たクレアシアン。

 何度かアサトの首の辺りを嗅ぐと、小さく息を吐く、その息が首筋に当たる感触に小さく身を固める。


 その動きを感じながら

 「うふ…可愛いねぇ…、ぼうやぁ………あなた死ぬのねぇ~」と言いながら小さく微笑む。

 「え?…どうして」とアサト。

 「…おねぇ~さんはぁ、分かるのぉ…」と言いながら、両手をアサトへと向けた。


 その行為に小さく後ろに体を動かすと、「大丈夫よ…取って食べたいけどぉ…、しないわぁ~」と言いながら、アサトの顔を優しく触る…。


 エイアイが触診したような感じではないが、やさしくアサトの体の作りを見るように、滑らかに、そして、愛撫でもしているかのように、顔から首、肩、右腕、左腕と通り、脇に触れる。

 脇から来ている服をはだけさせて胸を触り…ちょっと乳首を刺激してみる。

 その刺激に声を漏らすと目尻を下げて、「うふっ。…可愛いぃ…」と目尻を下げながら、脇腹をなぞり、下腹部に来ると腹筋の縦線をなぞりながら上に移動して、薄く割れている腹筋一つ一つを確認するように下がり始めた。


 再び下腹部まで来ると、優しく腿の付け根に手を這わせる。

 その動きに腰が小さく浮くと、妖艶な笑みを見せながら、股間に手を持ってきた。


 「あらぁ?」とクレアシアン。

 アサトの男の象徴を、薄い麻で出来ていると思われるズボンの上から何度かしごき、「ここは…健康そうねぇ~」と笑みをみせる。

 その表情に頬を赤くするアサト。

 クレアシアンの手は、太ももへと伸びてから、膝を折ってしゃがむと足先まで伸ばす。

 目の高さにズボンを押し上げている股間に目が留まり、その股間を見てからアサトを見上げた。


 アサトは頬を赤らめながら視線を外すように顔を横にむける。

 「おねぇ~さんとぉ…イヤらしい事、したいと思っているでしょう?」と、アサトの表情を伺いながら言葉にした。


 その言葉に頬を赤らめながら首を横に振って見せた。

 その行動を見て…。

 「あらぁ…坊やはホンとに可愛いわねぇ~」と言いながら立ち上がり、大きくなったお腹を擦ると、腰を小さく叩きながらアサトの横に腰を下ろした。


 「ぼうやぁ…あなた…ねぇ」と耳元に近づいて言葉にする。

 その言葉にクレアシアンを見ると、クレアシアンは目尻りを下げながら、ゆっくり、そして、しなやかに右手を上げて、アサトの左側の首筋に手を当て…。

 「ここにも…大きなモノがあるわぁ…」と言い笑みを見せた。


 その言葉に目を見開き、「どうして?」と言葉にする。

 首筋に当てていた手をアサトの首筋から顎のラインを通り、耳へともってきたクレアシアンは、顔をアサトへと近づけ

 「これで…判ったわぁ…どうしてぇ、あの気味悪い吸血鬼が、あの場で肉片になっていたのかぁ…、…坊やだったのねぇ~。」と言うと目を細めて、一層アサトへと顔を近づけ、「坊やの血を飲んだのねぇ…」と笑みを見せる。


 うっとりとした言葉に甘い香りがアサトを包み込み、クレアシアンの唇は、アサトが少し動けば届きそうな距離にあった。

 「なんで…判ったんですか?」とアサト。

 「そうね…」と言葉にすると……。


 「そこまでだ!」と感情も何も感じないような声が聞こえて来た。


 クレアシアンは、その言葉を聞くと目を閉じて、小さく笑みを見せ…。

 「続きはぁ…この後ねぇ…」と言いながらアサトから手を放して、姿勢を正し声の方へと視線を向けた。

 アサトは離れて行く妖艶な女性の残り香を感じながら見つめている。


 クレアシアンは笑みを見せて、「あらぁ?お久しぶりねぇ、エイアイさん…、あなたにはぁ、私の魔法は、やっぱり聞かないみたいねぇ…。」と言葉にした。

 その言葉に我に返ったアサトはエイアイを見る。


 エイアイは厚いメガネに顔の半分を覆ったマスクをし、白衣姿で手には、なにか筒状のモノが生えているモノを持ち、その筒状の先がクレアシアンを捉えていた。

 アサトは、その物が何かは判らなかったが、武器であると言う事は雰囲気で分かった。


 「それわぁ…わたしには効かないって解っているでしょう?」とクレアシアン。

 「あぁ…判っている、だが、これは古の武器、コルト・アナコンダと言う44マグナムと言う大口径の拳銃。弾に重い弾頭を装着し、通常より高速で発射されるようにした武器、君には効かないかもしれないけど、そばにいる彼に当たったら…」と言葉にした。

 その言葉にクレアシアンは、目を大きく広げて見せると、小さく微笑みながらアサトを見る、そして、ゆっくりエイアイに視線を移すと…。

 「そうねぇ…坊やに何かがあれば…おねぇさんはイヤだなぁ…」と言いながら再びアサトを見て目じりを下げた。


 「今日はなんの目的だ」とエイアイが言葉にする。

 その言葉にエイアイを見て、「そうねぇ…とりわけ目的は無いんだけどぉ…」といい少し考えて。

 「そう言えばぁ…あれ、どうだったぁ?」と聞く。

 その問いに、「あぁ…間違いは無かった」と答えるエイアイ。

 その答えを聞くと、「じゃぁ…約束通りにちょうだい?」と首を傾げながら笑みを見せた。


 その笑みを見たエイアイは、一度アサトを見ると、銃を下ろし、「わかった…今、取って来る。その子には手を触れるなよ…」と言葉にした。

 その言葉に笑みを見せて、「わかったぁ…でも、坊やは欲しがっているみたいよぉ」と妖艶な笑みを見せる。

 黙って見ているエイアイ。


 「ほらぁ…早く持って来なきゃ…おねぇ~さん、坊やを食べちゃうわぁ…」と捲し立てる。

 エイアイは、一つ間を置くと、「すぐに来る!」と言葉を残して、部屋を後にした。


 後ろ姿を見ていたクレアシアンは、再びアサトをうっとりとした目で見ると妖艶に微笑み…。

 「そうだ…ぼうやぁ…」と言うと再び顔を近づけて……。


 「おねぇ~さんがぁ、その病気…治してあげるわぁ~」と妖艶な笑みをみせた…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る