第23話 仲間の修行と裸のカッパ達? 上

 …時…同じくして…。


 『デルヘルム』付近、草原にて…。


 「あぁ?何言ってんのう?」とケイティが腕を腰に当ててすごんでいる。

 「…ッチ」とアルベルト。

 「なんであたしが、あのネコ娘と一緒に走ったり飛んだりしなきゃなんないの!」とアルベルトに向かって口調を強くしていた。


 「ったく、いいかチビガキ!」

 「はぁ?誰がチビガキなん?ん?」と迫るケイティ。


 そこに駆け寄ってくる尻尾の少女、チャ子。

 「んにゃ?どうしたケイティ!」と間に割って来た。

 「はぁ?ネコ娘。なんであんたと一緒で、セラと一緒じゃないのよ!」と目の前に現れたチャ子に言うと、チャ子は不思議そうな顔で、「だって…セラちゃんは召喚士?だから、牧場で召喚のなんとかするんだって!んで、チャ子たちは…」

 「はぁ?なんでぇ!ええ?不機嫌王子!なんでなん?」とチャ子の後ろにいるアルベルトに向かって声を張り上げた。


 「…ッチ、ったく、面倒なの押しつけやがって…」とアルベルト。

 「だからぁ…」とケイティ。


 そこに、「じゃあ~、こうしましょう」とテレニアが入って来た。


 「…なに?銀髪ミミナガ!」とケイティ。


 その言葉に、ちょっと目を細めながら…。

 「チャ子ちゃんと決闘して、勝ったらチャ子ちゃんより強いから、セラちゃんの所に行っていい。負けたら…このまま、文句を言わずに修行を…ここでするの」と言うと、ケイティは腕組みをして考えながら、目の前に居るチャ子を見て、「よし!分かった!」と言葉にする。


 「…これで何とかなるかなぁ~」とアルベルトを見ながら、元居た場所に戻ってゆく。


 ケイティは、木で出来た短剣を手にするとチャ子に対峙する。

 チャ子も不思議そうな顔でケイティに対峙する。


 「…」とケイティ。

 「ほにょ?」とチャ子。


 目を冷ややかにしてチャ子を見ている。

 ニカニカした笑顔でケイティを見ている…と…。


 「ちょっとネコ娘。あんた、今いくつ?」と聞く、「んにゃ?いま…確…13…さい?」と首を傾げる。

 「ゲッ!」とケイティ。


 ニカニカしているチャ子は、13歳で…。


 …とケイティは、自分の視線よりちょっとたかいところにある目を見ると、足を見る…、そして…腰を見てからのぉ…胸を見ると…!!。


 踵を返したように振り返り、自分の胸に手を当て…、そして…揉む、揉む、揉む…。と確認してから小さく息を吐き…再び、振り向きチャ子を見る。

 その眼は…何故か血走っていて…。


 「ねぇ~、なんか…歳、ごまかしてない?」とケイティ。

 「…んにゃ?なんでぇ?」とチャ子は不思議そうに見る。

 「だって…おかしいでしょう!そのプロポーション!」と指を指す。

 その姿をみて、テレニアがちょっと噴き出し、弟子のオースティとベンネルも笑った。

 「…ッチ」と舌打ちをするアルベルト…。


 「あたしだって…」とケイティは握りこぶしを作って肩に力を込めると…。


 「大丈夫だよ…」とチャ子がケイティを抱きしめる。

 「え?」とケイティ。

 「ウン。チャ子はセラちゃんの事も好きだけど、ケイティも好き!」と言い体を強く抱きしめた。

 「え?えぇ…」とケイティ。

 「…だから、早く終わらせて、一緒にセラちゃんのところに行こう!」と言いちょっと体を離すとニカニカと笑みを見せた。

 その笑みを見て…。

 「あ…う…うん…行こう!」とケイティ。

 その姿を見たテレニアは小さく微笑む、弟子のオースティとベンネルも笑みを見せた。


 「じゃ…ネコ娘。」とチャ子に言うと、「んにゃ?」とチャ子。

 「これからあたしを…キューティーケイちゃんてよんで」と笑みをみせると…。

 ニカニカした大きな笑顔をみせて…。


 「!」と大きな声で言葉にする。


 「はぁ?なに?このネコ娘!」とケイティが離れて剣を構える。

 それを見たチャ子が剣を構えて、「だって…はずかしいもん…」と笑みを見せる。


 その言葉を聞いたケイティは…目を大きく見開いた後に、冷たく陰険な表情をみせて…。

 「もう一回いってみな…。ネコ娘!」といい木で出来た短剣を握りなおす。

 「…ウン。だってはず…」

 「っちぇぇぇぇぇぇぇすと!」と叫び声をあげて飛び蹴りをくらわすが、逃げるチャ子。


 「ったく…クソネコ娘。皮剥いで暖炉の前の敷き革にしてやる…」といいながら振り返りチャ子を見る。

 チャ子はニカニカしながらケイティを見て、「ヤダよ!恥ずかしいもん!」と言い小さくステップをとり…。


 と…。


 少し離れた場所では、アリッサが立ち止まり辺りを見わたす。

 「どうしたベッピンさん」とポドリアンが声をかける。

 「いえ…なんか…いやな事がおきているような…」と言いながら聞こえて来たと思う方向を見た。

 ポドリアンとグリフもその方向をみながら「…?」と首を傾げる。

 少しだけ見渡すと「いえ、気のせいにしておきます!」と言い盾を構えた。


 「じゃ…続き行くぞ!」とポドリアンがこん棒を持ち上げて、アリッサが構えた盾目掛けて叩きつける…。

 右から左から…左から右から…と…。


 「そうだ。腰をおろして…」とグリフが形を作りながらアリッサの隣を一緒に進む…。

 「そして…突く!」と言い、手を伸ばすのと同時に、アリッサも手にしていた木で出来た剣を前に突き出した。


 「タンクは守るだけでない、相手にも攻撃する。その攻撃のタイミングは、相手が引いた時だ。わしのような小さな相手なら、片手で持って防げばいいが、グリフのような大きなモノの攻撃は両手で盾を持ち、攻撃の時に繰り出す剣を持つために時間がかかる…だから、わしらは、自分でそのタイミングを作るようにしている」と言うとこん棒をグリフに渡した。


 「タイミングを作る…ですか…」とアリッサ。

 その言葉にポドリアンが頷き、「アサトらと戦った時はどうだった?」と聞くと、「無我夢中でしたから…それに、アサトが指示を出すように合図みたいなのもありました」と言葉にした。

 「うん、うん。ナガミチと同じだ。わしらタンクは、アタッカーが気持ちよく戦える場面を作る。右に!と言えば右に弾く、左に!と言えば左に弾く…だが、」と言い、アリッサの持っている木で出来た剣を掴む。


 「これは…何のためにある」と言葉にする。

 「攻撃の為…」とアリッサ。

 「…そうだ、攻撃だ!アタッカーやサブアタッカーが手いっぱいの時に守ってばかりじゃダメだろう。たぶん、ベッピンさんも『オークプリンス』の戦の時は攻撃をして、オークらを討伐していたはずだ。体にはしみついている、攻撃は…でも、それが状況を見て攻撃か守りか…それともサポートか…と判断できる状態にならねば…本来のタンクの意味が無い。タンクとは…パーティーでは、正真正銘の要なんだ。タンクの出来次第で勝敗が決まる…と言っても過言ではない」と言い、アリッサを見上げて、「一番の花形職業だ」と言うと、「これは…ナガミチの言葉だけどな」と付け加えて、大きな笑みを見せた、そして…。


 「攻撃を受け、受け、受けたら…攻撃!」とポドリアンが腰を下ろして小さく踏ん張る格好を見せてから手を伸ばした。

 その行動を見て、「それ…ジャンボも同じことを言っていた」と言葉にすると…。

 「あぁ、あいつは傭兵だったからな、戦い方を覚えている。ベッピンさんも数を熟せばわかるよ…」とグリフが言うと、「俺たちが教えられるのは…。守る事だけ、さぁ、構えて、オジサンたちの攻撃を防いでみろ」と言いこん棒を振りかぶる。

 「ハイ!」と言い盾を両手で握り、肩を盾の裏に着けて、グリフが振り下ろす攻撃を受ける修行を始めた…。

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