第3話歩き出したふたり
それから私達は少しづつ距離を縮めていった。無理せず少しづつ
「健、俺凛と付き合う事にした。いや、付き合ってんねん」
「まあ、言わんでも分かるけどな」「今日も凛迎えに来たんやろ?」
「まあな」
「ほら、凛帰ってきたで」
「ただいま」
「お疲れさん」
「健、俺より先に言うなよ」
私はその光景を見ながら思わず笑みがこぼれた。幸せを感じた。
私達は手を繋ぎ、他愛もない会話をしながらいつもの帰り道を歩いていた。
家の前の公園に着くとおやすみのキスをした。
彼の休みの日にはデートをし、バイトの帰りはたこ焼き屋で待ち合わせをし、変わらない毎日だけど幸せな毎日を送っていた。
学生生活もあと少しとなり、私は就職活動を始めていた。
やりたいことは決まっている。
無事内定をもらい私はほっとしていた。
「凛は友達と卒業旅行とか行くんか?」
「何にも決めてないよ」
「俺と旅行いくか?」
「うん」
私はちょっと照れながらうなずいた。
あっという間に時間は流れ、遂に卒業の日を迎えた。
これで学生という言葉ともお別れだ。
私はその日、最後の学生としての時間を楽しんだ。
もちろんその帰りは彼との時間を過ごした。
「卒業おめでとう」
「ありがとう」
「服が変わると雰囲気も変わるな」
「そうかな?」
「健にも見せとくか」
「うん」
二人でたこ焼き屋へ行きいつもの時間を過ごす。
私は卒業と同時にバイトも辞め、しばらくの間はのんびりと過ごす事にしていた。
彼との旅行も控えていた。
遂にその日がきた。行先は北海道。
ゆっくりと、のんびりと自然を楽しみながら過ごそうと決めていた。
「おはよう。行こっか」
「うん。」
二人は手を繋ぎ歩き出す。
私は心臓の音が彼に聞こえるんじゃないかと心配になるくらいにドキドキしていた。
北海道に着いた私達は自然に触れ、美味しい物をたくさん食べながらいつもとは違う空間の中で楽しく幸せな時間を過ごした。
時間が経つにつれ私はまたドキドキしていた。
今日はおやすみを言って別れるのではないと言う事。
ずっと彼が隣に居る事を考えるだけで、また心臓の音が大きくなっていた。
彼と一緒に迎えた朝。
なんだかとっても照れくさかった。
「おはよう。凛」
「おはよう。亮大さん」
「凛。さんはつけんでええよ」
「うん… 亮大」
私達はしばらくの間見つめ合った。
今日も一日北海道を満喫した。手を繋ぎ笑い合いながら。
2泊3日の北海道の旅行も終わり、私は就職に向けての準備を始めた。
不安はあるけど新しいスタートにワクワクもしていた。
「凛。仕事始まったら忙しくなるな」
「まだ何も分かんないしね…どうなるんだろ」
「まあ、頑張り過ぎんなよ」
「うん」
今はいつもの帰り道ではなく、彼が仕事の帰りに家へ寄ってくれるようになっていた。
今の自由がある時間を惜しむかのように、私達はそれが少しの時間であったとしても毎日会うようになっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます