第12話 第三兵器(共依存の果てその2)

 翌日の放課後。

 制服姿の眼鏡少女は、小さな公園のベンチに背筋をこれでもかと伸ばして腰を掛けていた――。


 前髪から覗く瞳が、きらめきを放ちながら物語る……この世で1番大切な親友の成長に、彼女の心は満たされていたのだ。


 間もなくして、1学年下の少女が公園に到着した。

 同じ部活に所属する友達2人と共に……。


「あれ? 1人じゃないの?」


 眼鏡少女は3人の中で1番小柄なショートヘアの少女に声を掛けるが、彼女からは何の反応もない。


「ちょっと!? 聞いてる?」


 それも無視され、眼鏡少女は「どういうつもり? いーかげんにしてっ!」と肩を掴もうとしたが、自分の手が小柄な少女の体をすり抜けた。


 (えっっ? 何?!)


 眼鏡少女の脳が混乱を起こす前に、小柄な少女の友達が口を開く。


「そう言えば佳苗かなえのヤツ、まだ送ってくるの?」


「うん……」


 佳苗は小さく答えた。


「メチャしつこいんだけど! もう、拒否しなよ!」


「でも……」


 答えに困っている佳苗の背中を、もう1人の友達が軽く擦る。


「怖いんでしょ? 何か変に恨まれて最悪、刺しに来そうだもんね、あの人」


 佳苗が頷く。


「えぇぇぇー! マジ!? でもアイツならあり得るかも? コワッ!」


 そんな会話をしながら、3人は公園を横切って行った……。


 秒で自分の立場を理解した眼鏡少女は、その場で膝から崩れ落ちる――。


 (小さい頃からずっと隣にいたのに……支えてきたのに……助けてきたのに……何で? 何で……)

 

 眼鏡少女はしばらく泣いた。

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