EX.ある戦士の最期

 ――実に運の悪いことに、ホワイト達のように仲間と合流できなかった者がいた。


 暗闇で目覚めた時、は既に多くの敵に囲まれていた。

 何も見えぬまま、殺意と敵意だけを頼りに武器を振るい、多くの敵を倒しただったが……暗闇での孤軍奮闘には、流石に無理があった。


 少しずつ敵の攻撃が体をかすめるようになり、次第に体力を奪われていった結果……は遂に力尽きてしまったのだ。


 剣なのか槍なのか、はたまた爪なのかも分からぬ敵の得物で全身いたるところを抉られ、おびただしい量の血が流れていた。明らかに致命傷だ。


「……ここまで、か」


 弱々しく呻くに、襲いかかるものはもういない。

 全てを倒し尽くしたのか、を仕留めたとみなし立ち去ったのか。それとも……。

 には、もうその判断すらも出来なかった。


 だが――。


『――他の仲間達は無事だろうか?』


 そんな今際の際にあっても、は死にゆく我が身を嘆くのではなく、仲間の身を案じていた。


 やがて、の意識はゆっくりと薄れていき――闇へと落ちるその直前、何者かが呼びかける声を聞いた。


『――ああ、これが神様の声というやつだろうか?』


 ぼんやりとそんな事を考えながら、の意識は今度こそ暗黒の淵へと墜ちていった――。

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