EX.ある戦士の最期
――実に運の悪いことに、ホワイト達のように仲間と合流できなかった者がいた。
暗闇で目覚めた時、その人物は既に多くの敵に囲まれていた。
何も見えぬまま、殺意と敵意だけを頼りに武器を振るい、多くの敵を倒したその人物だったが……暗闇での孤軍奮闘には、流石に無理があった。
少しずつ敵の攻撃が体をかすめるようになり、次第に体力を奪われていった結果……その人物は遂に力尽きてしまったのだ。
剣なのか槍なのか、はたまた爪なのかも分からぬ敵の得物で全身いたるところを抉られ、おびただしい量の血が流れていた。明らかに致命傷だ。
「……ここまで、か」
弱々しく呻くその人物に、襲いかかるものはもういない。
全てを倒し尽くしたのか、その人物を仕留めたとみなし立ち去ったのか。それとも……。
その人物には、もうその判断すらも出来なかった。
だが――。
『――他の仲間達は無事だろうか?』
そんな今際の際にあっても、その人物は死にゆく我が身を嘆くのではなく、仲間の身を案じていた。
やがて、その人物の意識はゆっくりと薄れていき――闇へと落ちるその直前、何者かが呼びかける声を聞いた。
『――ああ、これが神様の声というやつだろうか?』
ぼんやりとそんな事を考えながら、その人物の意識は今度こそ暗黒の淵へと墜ちていった――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます