第38話 まともに開発できません

『悪魔合体』……既存の悪魔と悪魔を合体させて強力な個体を作るスキル。合体させることで強力な個体ができたり、特殊な個体ができたりする。でも、できたものに忠誠心が備わっているかどうかは別問題。今後ともよろしくされるか、丸かじりされるかは分からない。たまに事故って、ありがたいものができたりする。これは料理にも同じことが言え、日々勇者たちが体を張って新しいレシピの開発に勤しんでいるらしい。しかし、ゲソにバタピーは無えだろ。




「魔王様。開発の成果をご報告したいと思います。資料をご確認ください」


 開発主任が恭しく挨拶をする。

 悪魔合体か……。

 我が力を利用したものとはいえ、恐ろしいものだ。


「まずは強化版サイクロプスです。こちら既存のものよりパワーが30%上昇しています」

「ほう、それは凄いな」

「ですが反動で知能が50%ほど低下しております。こちらの言うことを聞くかは賭けですな」


 開発主任はかけている眼鏡をクイッとやる。

 いや、賭けですな、じゃない。

 そんなポンコツ、危なくて使えるか!


「続いて水陸両用の悪魔を目指して合体させたものですが、どちらの利点も併せ持ったものができました」

「ほう、それは使えるな」

「ですが欠点も併せ持ったので、陸上だと時々水をかけないといけませんし、水中でも息継ぎが必要です」

「貴様は我に殺されるために報告に来たのか?」

「いえ、魔王様のご意見が聞きたく……」


 このままでは開発費の無駄だ。

 何かいい方法は無いか……。

 何か、趣味と実益を兼ねそうな……。

 そうだ! 


「もっと見た目が可愛い魔物を作れ」

「は? 可愛い、ですか?」

「そうだ! いいか? いかにも強そうな怖そうな魔物だと人間に不必要な警戒心を抱かせる」

「はあ……」

「もっと見た目が可愛い魔物なら人間の抵抗力を削ぎ、楽に侵攻できるではないか!」

「で、では、その方向で検討します」


 ふふ。これでよし。

 これで魔王城にも少しは癒しが増える。


「魔王様~!」


 向こうからグローシアがやってくる。

 手に何か、得体の知れないものを持っている。


「魔王様のためにワタクシ、お料理を作りましたの。〆サバあんこオムレツくさや添えですわ」


 うわぁ。

 ここでも合体事故が起きてる。


 ぬっちゃりとして

 すっぱくて

 口の中が味覚の異常事態

 そんな感じだった。




――――――――――――――――――――――――

魔王様への意見具申コーナー

Q 魔王様は可愛いもの好きなんですか? そんな噂が流れてるッス。 一般魔族より


A ば、馬鹿者! 決してそういうわけではない! ただ、どちらかと言うと、可愛い寄りのものが好きなだけだ。勘違いするでない。

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