第30話 まともに自慢できません
『変身』……自分の姿形を変えること。変身した相手の能力をそのまま使えることもある。契約だったり能力だったり魔法だったりマジカルなアイテムだったりと変身する方法は様々。特撮ヒーロー物でよく使われる手法であり、制限時間が存在するものもある。その場合、大体1分半から3分くらい。その間だけ巨大化できたり金色になれたりする。なぜ制限時間が存在するかって? だってせっかく変身したのに長く戦ったら、グダグダになるし周りへの被害は大きくなるし、何より尺が足りなくなる。つまり大人の事情である。
「美人コンテストがあるそうですよ?」
情報収集から帰ってきたクラウスは開口一番そう言った。
いや……何の情報を集めてきてるんだよ?
「なんでも、古代の宝が手に入るとか」
なんで港町の美人コンテストでそんな物が手に入るんですか?
まあ、手に入れたいですけど。
「でも、うちで女性って言ったら――」
皆でメイシャの方を見る。
「ア、アタシはヤダよ! そんなの柄じゃないし」
メイシャは頭を振って拒否した。
え~、じゃあ、どうするんです?
「なんとかできませんか、勇者様?」
クレアが俺の方を見る。何で俺に頼む?
君、俺に頼めば何とかなると思っているな?
「はあ……仕方が無いな」
『変身』を使うか。正直、あまり気乗りはしないが。
俺は意識を集中して掛け声を叫ぶ。
「マジカ~ル、変身!」
眩い光が俺の体を包み込み、体が変化していく。しなやかで女性らしい体つきに変わり、髪は伸びて艶やかになる。変化が終わると、そこには美しい女性の姿があった。いや、自分で言うのも変だけどね。
「「「…………」」」
3人とも絶句している。ふふふ。さてはあまりの美しさに驚いているな?
「「「さっきの掛け声は必要?」」」
「そこは放っておけ!!!」
首を傾げながら聞くんじゃない!
何となくだよ!
その場のノリ!!
俺は憮然としながら会場へと向かった。
――――――――――――――――――――――
女神さまからの質問コーナー
Q マジカ~ル、変身! は可愛いですね。どこで覚えたんですか?
A ちょっと! 何で女神さまが質問してんすか!? 知りませんよ、そんなもの!
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