第16話 まともに活躍できません
『センス○』……あらゆる能力を習得できる素質がある者に与えられる能力、というか称号みたいな何か。オールA作成には必須能力。ゲーム内ではこのスキルを持つ人間は何故か初期能力値を低く設定されがちだが、現実世界では全く逆で、この能力を持っている人間ほど早くに自分の才能に気付き努力するため能力値は高くなるだろう。
RPGの主人公はしばしばこの傾向があり、序盤・中盤は活躍する。一定の水準を満たせば『オールラウンダー』と呼ばれるが、ほとんどが『器用貧乏』と言われ、能力が尖った他のキャラに負けて最終メンバー落ちする。なのに主人公だから外せないというジレンマが発生したりする。その場合主人公は仕方なくアイテム係をやらされるか、最悪の場合操作が面倒だというヒドイ理由で間引きされたりする。無念。
無事? 塔の中に入った俺たちは広い空間に出た。
「これは……謎解きか?」
周囲には石板やよく分からないスイッチや荷物などがある。どうも謎を解かないと上の階へ行けそうもない。
「フムフム。これはアタシ向きだねえ。任せな!」
メイシャはそう言うと、石板を読み解きスイッチをいじり始めた。クレアはサポートに当たる。
「よし、じゃあ俺も……」
「あ、勇者様は壊しちゃうんで触らないでくださいね」
動こうとしたらクレアにくぎを刺された。なんか、暇だな。
俺は床に散らばっていた荷物を眺めることにした。
「ほら勇者! そんなとこに居たら邪魔だよ! もっと隅っこに寄って!」
今度はメイシャに怒られた。まるで掃除の邪魔になる、休日のお父さんのような扱いだ。
最終的に俺は部屋の隅で体育座りをすることになった。
本当は、俺は何でもできるんだぞ?
ただ女神に愛されすぎてるだけなんだぞ?
戦いとかなら活躍できるのになあ。
このフロア、何故か敵が出てこないしなあ。
そう言えば、ゲームでも謎解きのあるフロアは敵が出てこない親切設計になってること、多いよなあ。
あれ不思議だよなあ。
そんなことを考えながら、俺は1時間ほど部屋の隅のカビを眺めていた。
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女神への質問コーナー
Q 魔物はなんで、よく分からないギミックや謎を用いるのでしょうか?
A 魔物を人間に置き換えてみましょう。全ての人が戦いが得意とは限りませんし、自分達の所にやって来る相手を全員は相手にしてられません。なので相手を絞るためにやっているのではないでしょうか? 魔物にも戦いを好まない者もいるのかもしれませんね。
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