第14話 まともに集中できません
『未来予知』……未来のことが分かる能力。能力は『未来が漠然と分かる』~『いつ起きるかまで確実に把握できる』までと幅がある。その人のメンタルによるのかもしれない。普通に考えてもとんでもない能力で未来を選べれば最強、無敵になれる。見えた先に良い未来があればいいが、悪い未来しかないと泣きたくなる。ただ未来は変えられる……かもしれない。各人の努力次第。未来の旦那さんが見えたら助けを求めましょう。
魔王の新しい手掛かりを求め、俺達は隣国を目指すことにした。
「山越えしなきゃいけないから、ちょいと疲れるねえ」
メイシャの言う通り、隣の国までは山越えが必須で相変わらず荷物は多い。言い出しっぺの俺が凄い身軽なのが、なんか申し訳ない。メイシャがメンバーとして増えている分、クレアの負担が以前よりも減っているのが救い。
「何もないと良いですが……」
クレアは心配そうに話す。この山道は魔物も多いが、それ以前に山として厳しい。過酷な道のりになりそうである。
俺は少し意識を集中してみた。
未来のビジョンがぼんやりと見えてくる。『未来予知』の能力だ。とても便利な能力で未来のことがよく分かる。難点は時間の指定がピーキーすぎることで、ちょっとでも集中が乱れると大幅に未来視する時間が狂う。狂ったとしても一応、真実が見えるらしいが。
(え~と……せいぜい半日か明日くらいに……)
時間を意識しつつ未来視する。映像が浮かんでくる。
「勇者様! 魔物です!」
ああ! もう! いい所なのに!
魔物をとっとと片づけて未来視を続ける。え~と、山の中腹で……
「勇者! 落石だよ!」
ええい! 落石に当たってもどうせ死なん! それより集中力が……
俺はそのまま未来視を続けた。
「…………」
見えた場面はもはや山ではなかった。
そこには俺がいる。
女神もいる。
四角いリングの上。
女神にDDTをかけられる俺。
フィニーーーッシュ!!
「ふはははっはは!」
「ど、どうしたんですか勇者様? 急に笑い出して……」
おい! ふざけんな! いくらなんでも、この映像は卑怯だろ!
「勇者! 真面目にやんないと怪我するよ!」
メイシャに怒られた。うん、本当に真面目にやって欲しいものだ。女神にも。
まさか……現実にならないよな……。
――――――――――――――――――――
女神への質問コーナー
Q 女神さまはプロレスとか、やらないですよね?
A あらあら、どうしたんですか? 頭でも強く打ちましたか? 女神はとっても心配です。戻ってきたらちゃんと治療しましょうね。少々、荒治療ですが……。
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