第11話 まともに宝が手に入りません
『解錠』……鍵を解くスキル。内容は大変にシンプルだがとても大切なスキル。それこそ南京錠だろうがカラクリ錠だろうがどんなセキュリティーが施された扉だろうが片っ端から開く。盗賊が持っていたら神スキルと言われる。というか冒険なんかしてないで銀行強盗か、お金持ちの家を空き巣した方がいい。億万長者になれる。
ミノタウロスを倒した俺たちは奥の部屋へと進んだ。
「おっ! お宝か」
部屋の中央には宝箱がある。その周りには針金やら何やら細々としたものが落ちている。
「どうも鍵がかかっているみたいですね」
クレアは宝箱をコンコン叩いて言った。いや、最後の試練が終わったんなら素直に宝をくださいよ。
「チャレンジ……してみる?」
「私がします」
そうだね。それがいいと思う。スキルはあるけど正直自信がない。クレアに任せよう。
1時間後
「無理ですね」
クレアは諦めた。一生懸命、鍵口をガチャガチャしていたが駄目だったようだ。こうなると手段が無い。
「仕方がない。俺がチャレンジするか」
意を決して鍵に挑む。
5分後
「うん。まずは女神の加護を受けた壊れない解錠道具を探しに行く必要があるな」
鍵に挑むことすらできなかった。その前に解錠道具がぶっ壊れるから。いよいよ手が無い。
「宝箱壊したら中身も壊れると思う?」
「思います」
即答。だよね。
「どうしましょうか?」
「手が無いことは無いけど……だいぶ頑張らないと」
「あるんですか!? あるなら頑張りましょうよ!」
「本当? 本当にいいの~?」
そう言って俺はクレアを見つめつつガッツポーズを取る。頑張って運ぼうぜ!
30分後
背中に大量の荷物を背負ったまま両手で宝箱を抱えるクレアの姿があった。軽く舌打ちされた気がしたが気のせいだろう。王都に戻ったら盗賊要員を一人雇おうね。
――――――――――――――――――
女神への質問コーナー
Q 解錠道具が折れてしまうので『解錠』スキルが使えません。どうしたらいいですか?
A 女神の加護を受けた解錠道具は存在しないので実質、死にスキルです。おとなしく盗賊要員を仲間にするか、町まで宝箱を持って帰りましょう。せっかく冒険に出たのに宝箱が開けられないのは悲しいですよね?悔しいから持って帰っちゃいましょう。あなたが冒険のキーアイテムを入手し損ねてないか女神はとっても心配です。
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