【17】封印と風隠
澄斗side
161
「みんな! 逃げて!」
保健室から飛び出した流音。保健室の中で獣のような叫び声を上げ、平沼先生が見えない何かと戦っていた。
その目は赤く光り、その口は大きく開き鋭い牙を剥いた。
それは今まで目にしていた穏やかな平沼先生とは、まるで別人だった。
見えない何かに弾き飛ばされるように、平沼先生は何度も宙に浮き壁に激突する。そして開け放たれた窓から転がるように落下した。
「澄斗、何してるの! 早く!」
「わかった! 伊住、黒谷、生徒会室を封じるんだ!」
「わかった!」
俺達は一斉に階段を駆け上がる。踊り場から階下を見下ろすと、職員室から出て来た教師達が、無表情で俺達を見上げた。
ゆっくりではあるが、両手を前に突き出し、一歩また一歩と階段を上っている。
「伊住急げ! 生徒会室から本橋達を出してはいけない! ここは俺に任せろ!」
黒谷はニヤリと口角を引き上げると、四階のトイレからモップを取り出し、階段の踊り場に立った。
俺達に襲いくる教師陣を、モップを自由自在に操り、次々と倒した。
俺と伊住はその間に新聞部の部室である生徒会室の倉庫から、ボードと工具を取り出し、生徒会室のドアを外から封じた。
「流音は美術室へ急げ!」
「うん。……みんなありがとう。あたしがみんなを必ず助けるから。必ず……。さようなら」
「……流音?」
『さようなら』って、どういう意味なんだよ?
流音? どういう意味なんだよ?
生徒会室の中から、ドンドンとドアを叩く音がした。
「誰なの? ドアを開けなさい!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます