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平沼先生に助けを求めるには、今しかない。
「流音、美術室に行かなくていいのか?」
「澄斗、あとで行くよ。でもその前に保健室に行く。健康診断を受ける時に、平沼先生に相談したいの。平沼先生は以前あたしの話を聞いてくれたわ。だからきっと本橋さんに洗脳されていないはず」
「だといいが」
「なぁ、空野。本橋や転入生は全員生徒会室だ。外から封鎖し、生徒会室に閉じ込めるのはどうだろう?」
「伊住君、そんなこと出来るの?」
あたしは思わず身を乗り出す。
「新聞部の部室は、元々生徒会の倉庫だ。文化祭や体育祭で使用したボードや工具が揃っている。外からドアを打ち付け閉じ込める」
「そんなことで閉じ込められるのかな」
彼らは……
人間じゃない。
「生徒会室は四階だ。窓から飛び降りることは出来ない。大丈夫だ」
「ドアを封じてどうするの? あたし達には、それ以上何も出来ないよ。警察を呼んだところで、逆にあたし達が逮捕されてしまう」
「火を放てば焼き殺すことは可能だ」
黒谷君は平然といい放つ。絵画を燃やそうとした時と同じ。
「学校に火を? 黒谷君、それでは放火殺人になるよ」
「だったらどうすんだよ? 封じたところで、手も足も出ねぇ」
確かに黒谷君のいう通りかもしれない。
でも……。
「あいつらは人間じゃねぇ。化け物だ。焼き殺すしか方法はねぇ」
「黒谷早まるな。流音に何か秘策があるみたいなんだ。生徒会室のドアはひとつ。封鎖することで時間稼ぎになるかもしれないな。
健康診断のあと俺達三人で生徒会室を封鎖する。その間に流音は美術室に行くんだ」
「わかった」
保健室に着き、女子のあたしが一番始めに診察を受けることになった。
あたしはそのあと、みんなより一足先に美術室に向かう。唐沢先輩の人物画を完成させ、儀式を受けるために。
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