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「澄斗は学校のことや、生徒会のこと話したの?」


「話してないよ。俺の母親なんか本橋のこと『本当にいい子ね、素直で優しくて、母さんもあんな娘が欲しかったわ』なんて、毎日褒めまくってるんだから」


「成る程ね、本橋さんの悪口なんて言える状態じゃないね」


「俺達四人以外はみんな本橋や転校生に洗脳されてる。もしかしたらその生徒や教師が、みんなの家族も洗脳しているかもしれない。だとしたら、学校の異変は外部には漏れない」


「そうだね。大丈夫、あたしが必ず阻止するから」


「阻止するって、どうやって?」


「あたし唐沢先輩と話をするわ。あたし達に力を貸してもらうの」


「だからどうやって?」


「澄斗は美術室の外を見張ってくれればいい。決してドアを開けたり、話掛けたりしないでね」


「まるで民話みたいだな」


 澄斗はぶっきらぼうにそう答えると、重い段ボール箱を学校まで運び、美術室の中に置いた。


『流音、随分早いな』


「唐沢先輩おはよう。約束通り、絵画をお返しします」


 澄斗が段ボール箱を広げると、絵画は一枚ずつ箱から飛び出し、唐沢先輩の頬にチュッてキスをすると、美術室の壁に自ら張り付いた。


 ふわふわと浮かぶ奇妙な絵画の動きに、澄斗は目を丸くして見つめている。


「澄斗、本橋さんや先生が来ても、話が終わるまで廊下で足止めして欲しいの。決して誰も中には入れないで」


「わかった。流音、外で待ってるからな」


 澄斗の眼差しに、胸が熱くなる。澄斗ともう逢えないかもしれないと思うと、涙が溢れそうだった。


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