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「あたしはただ……あなた達を守りたかったから。あなた達はただの絵画じゃない。魂が宿ってる」


『そうよ、私達は身は滅びてしまったけれど、魂は滅びてはいない。私達は大好きなジュナ様の呪いを解くために、この身を捧げたのよ』


「唐沢先輩の呪いを解くため? どういう意味?」


『ジュナ様には生まれつき霊能力があり、それを恐れた地縛霊に呪いをかけられた。それでも尚、ジュナ様の霊能力は以前にも増して強まり、この地に蔓延る邪悪な地縛霊を地底に封じ込めることに成功したの。

 地縛霊にかけられた呪いは、十人の美少女の魂を絵画に封じ込めれば解けるという残酷なものだった。ただしその美少女は、霊体となったジュナ様を目視出来る霊感を持つ美少女でなければいけなかったの。

 私達九人は余命が短く、そのせいかジュナ様が目視でき、ジュナ様を救うために我が身を捧げた。私達は死んでもなお、ジュナ様をお慕いしている。十人の人物画が揃えばジュナ様は長い時を経て、この世に甦ることが出来るの』


「唐沢先輩が……甦る? この世に生き返るってこと!?」


『ジュナ様の遺体は発見されていないわ。いまだに行方不明の状態。すなわち身は滅びてはいない。ジュナ様の時は止まっているに過ぎないのよ』


「十枚の絵画が揃えば、あなた達はどうなるの?」


『十枚の絵画が揃えば、私達は天に召される。その前に焼却されれば、この地の地縛霊となる。あと一人いれば、私達は天国に逝けるわ』


「あと一人……」


『長い間、ジュナ様が目視できる少女は現れなかった。でも、やっと最後の一人が現れた』


「最後の一人……」


『まだわからないの? あなたのことよ。あなたがジュナ様を救う最後の一人。その身をジュナ様に捧げなさい。そうすれば地縛霊の暴挙を食い止めることが出来る。せっかく地底に封じ込めた地縛霊を解き放ったのは、あなたなのよ』


「あたしが……地縛霊を……」


『地縛霊は九枚の絵画が消え、ジュナ様が永遠に呪いを解くことが出来ないと確信し、ジュナ様に復讐するチャンスを狙っていた。

 そしてその封印を解いたのは、全世界を支配することを目論む新種のヴァンパイアと、あなただわ。ハカセさえいれば、こんなことにはならなかったのに』


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