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本橋さんが階段を降りたことを確認し、あたしと澄斗は美術室に向かった。
美術室のドアを開けると、そこには伊住君と黒谷君がいた。
「生徒会室の話は全部聞かせてもらった。空野上手くやったな」
どうして……
伊住君達が……?
「盗聴器を机の下に貼り付けるなんて、正直ドキドキしたよ。けど本橋のことだ、直ぐにバレるかもしれない」
盗聴器ー!?
あの時、盗聴器を!?
「風見さんの言ってた通り、本橋はヴァンパイアなのかな。今までヴァンパイアなんて、人間の作り出した非現実的な魔物に過ぎないと思っていた」
「嘘じゃない。この学園のどこかに本橋さんや教師を洗脳しているヴァンパイアが潜んでいる。本橋さんもその人を王だと発言したわ。皆が吸血される前にそれが誰なのか突き止めないと、学園も生徒も取り返しのつかないことになる。
もしかしたらヴァンパイアの王は生徒の中に潜んでいるのかも」
あたしは黒谷君に視線を向けた。
「この俺がヴァンパイアの王だと思っているのか? クックックッ、馬鹿馬鹿しい」
黒谷君はあたしを鋭い眼差しで見上げた。
「黒谷君は絵画を燃やそうとしたわ」
「それは単なる脅しだよ。この美術室に潜む幽霊の正体を確かめたかっただけ。絵画を盗んだのは風見だろ。その結果がこれだ。
意外とお前がヴァンパイアの王だったりしてな。善人の振りをして、真の魔物は俺達の目の前にいる」
黒谷君の挑戦的な言葉についカッとなるあたし。伊住君が見かねて仲裁に入る。
「仲間内で揉めてる場合じゃないだろう。この学園で洗脳されてないのは俺達四人だけだ。理由は何故だかわからないが、今この非常事態を救えるのは俺達だけなんだよ」
「確かに、伊住の言う通りだ。流音、絵画を美術室から持ち出したことと、あの転校生が現れたことが関係あるなら、絵画は美術室に戻そう」
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