142
「悪霊は我らの敵なり!」
一年A組の赤井君が口を開いた。その声は不気味で、聞いているだけで頭がズンッと重くなる。
「あなた様は我々を悪霊の呪術から解き放ってくれた。我々はあなた様への忠誠を誓います」
一年C組の伊崎君が言葉を続ける。
悪霊の呪術?
「我々とあなた様が共に手を携えれば、この世界もやがて我々の支配下になるでしょう。腐りきった人間どもを一掃し、あなた様の同族とすることをお誓いします」
「全員一致で異議はありませんね」
本橋さんの言葉に、全員が挙手をする。
あたしと澄斗はその言葉の意味もわからないまま、挙手をした。
「我が王は校長と教師達をすでに洗脳している。これから王の手により、教師も生徒も同族へと導かれるであろう。歯向かう者は皆の手で処刑し闇の世界へ引きずり込むがいい。本日はこれにて閉会とします」
全員が無表情のままスクッと立ち上がり、生徒会室を出て階段を降りる。
本橋さんはあたしと澄斗に視線を向けた。
「あなた達は不思議な力から守られているようね。でもその力も直ぐに効力を無くすわ。その時、あたし達の同族となり生きるのか、闇の世界に堕ちるのか自ら選ぶ時が必ず来るでしょう。
あたし、美術部は退部したの。柿園先生にも退部届けは提出ずみよ。これから忙しくなるわ。絵画なんて描く時間はないわ。あなた達はどうするの?」
「……あたし達は部活に行きます」
「そう」
あたし達が洗脳されていないことは、本橋さんは察知しているようだ。
新種のヴァンパイアの王がこの学園にいるなんて……。
でもそれは……
本橋さんではない。
そして……
転校生達の正体は……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます