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「悪霊は我らの敵なり!」


 一年A組の赤井君が口を開いた。その声は不気味で、聞いているだけで頭がズンッと重くなる。


「あなた様は我々を悪霊の呪術から解き放ってくれた。我々はあなた様への忠誠を誓います」


 一年C組の伊崎君が言葉を続ける。


 悪霊の呪術?


「我々とあなた様が共に手を携えれば、この世界もやがて我々の支配下になるでしょう。腐りきった人間どもを一掃し、あなた様の同族とすることをお誓いします」


「全員一致で異議はありませんね」


 本橋さんの言葉に、全員が挙手をする。


 あたしと澄斗はその言葉の意味もわからないまま、挙手をした。


「我が王は校長と教師達をすでに洗脳している。これから王の手により、教師も生徒も同族へと導かれるであろう。歯向かう者は皆の手で処刑し闇の世界へ引きずり込むがいい。本日はこれにて閉会とします」


 全員が無表情のままスクッと立ち上がり、生徒会室を出て階段を降りる。


 本橋さんはあたしと澄斗に視線を向けた。


「あなた達は不思議な力から守られているようね。でもその力も直ぐに効力を無くすわ。その時、あたし達の同族となり生きるのか、闇の世界に堕ちるのか自ら選ぶ時が必ず来るでしょう。

 あたし、美術部は退部したの。柿園先生にも退部届けは提出ずみよ。これから忙しくなるわ。絵画なんて描く時間はないわ。あなた達はどうするの?」


「……あたし達は部活に行きます」


「そう」


 あたし達が洗脳されていないことは、本橋さんは察知しているようだ。


 新種のヴァンパイアの王がこの学園にいるなんて……。


 でもそれは……

 本橋さんではない。


 そして……

 転校生達の正体は……。

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