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いつの間に、あんな立場に……。
「校長先生より生徒会長に任命された本橋つみれです。この壇上に並ぶ転校生はあたしの同志達。この学園をより良いものに、そしてこの国を、全世界を、あたし達がこの手で支配するのです」
国や世界を……支配?
一体、何を言ってるの?
「我が同志達よ。今こそ結束を強め! 立ち上がる時が来たのです!」
「「オー!」」
体育館が揺らぐほどの声が上がり、全員が拳を振り上げる。
あたしも澄斗も、そして伊住君も黒谷君も周囲に合わせ拳を振り上げた。
全校生徒の左右、そして後ろには教師が立ち、まるで生徒の動向を見張っているようだった。
全身に鳥肌が立つほどの、悪寒を感じた。
「皆さん、あたしの一存ではありますが、生徒会の副会長をこの場で指名したいと思います。副会長はこの壇上にいる者ではなく、皆さんの中から指名したいと思います」
会場に拍手がおきた。
まさか澄斗を仲間に引き込む気!?
それとも……
始めから澄斗は仲間だったの!?
――その時、目が合ったんだ…。
本橋さんと視線が重なった。怖くて足が震えている。動揺を悟られまいと無表情を貫くが、目は嘘を吐けない。
本橋さんに見据えられ、思わず目を逸らした。と、同時に本橋さんが副会長の名を告げた。
「風見流音さん、あなたを副会長に任命するわ。さぁ壇上へ」
拍手が沸き起こる。
全生徒の視線があたしに集中した。
澄斗も伊住君も黒谷君も無表情だ。恐怖から動けないあたしに柿園先生が近付いた。
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