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「あたしにもそれくらい出来るわ」


 フンと口を尖らせ大口を叩いた手前、今さらそんなこと出来ないなんて言えない。


 一階に降り無言で体育館に通じる渡り廊下を歩く。渡り廊下から美術室を見上げた。


 唐沢先輩が心配そうにあたしを見つめていた。


 ゴロゴロと雷が鳴り、空を稲光が走る。バケツをひっくり返したような豪雨。ザーッと風雨が強まり、スカートが翻る。


「あなたたち、何をしていたの」


 体育館のドアの前に、柿園先生が怖い顔をして立っていた。


「すみません。ちょっとトイレに……」


「早く入りなさい。校長先生から大切なお話があるわ」


 校長先生から?


 あたしたちは表情を変えることなく、体育館に入り列の最後尾に並ぶ。


 体育館の壇上には校長先生と、転校生達がずらりと一列に並んでいた。


「本日、我が校に優秀な転校生が多数転入しました。これからは彼らが全学年、全クラスのリーダーとなり、君たちをよい方向に導くこととなるでしょう。

 そして彼らを纏めるのは、一年A組、本橋つみれさんです。現在の生徒会は本日を持って廃止し、新たな生徒会を発足します。

 生徒会長は本橋さん、壇上にいる転校生を生徒会の新役員とし、新体制で生徒会を運営します。

 新生徒会は、この学校での最高指揮官の権限を与え、全生徒一丸となって従うように」


 教師も生徒も一斉に背筋をただし、右手で敬礼をした。誰一人、異議を唱えるものはいない。


 現在の生徒会を廃止し、一年の本橋さんが生徒会長? 転校生が新生徒会の役員?

 最高指揮官って……。

 まるで軍隊みたい。


 本橋さんがツカツカとマイクの前に立つ。まるで軍隊の最高指揮官に敬意を表すように、全員がピンと直立している。

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