137
「あたしにもそれくらい出来るわ」
フンと口を尖らせ大口を叩いた手前、今さらそんなこと出来ないなんて言えない。
一階に降り無言で体育館に通じる渡り廊下を歩く。渡り廊下から美術室を見上げた。
唐沢先輩が心配そうにあたしを見つめていた。
ゴロゴロと雷が鳴り、空を稲光が走る。バケツをひっくり返したような豪雨。ザーッと風雨が強まり、スカートが翻る。
「あなたたち、何をしていたの」
体育館のドアの前に、柿園先生が怖い顔をして立っていた。
「すみません。ちょっとトイレに……」
「早く入りなさい。校長先生から大切なお話があるわ」
校長先生から?
あたしたちは表情を変えることなく、体育館に入り列の最後尾に並ぶ。
体育館の壇上には校長先生と、転校生達がずらりと一列に並んでいた。
「本日、我が校に優秀な転校生が多数転入しました。これからは彼らが全学年、全クラスのリーダーとなり、君たちをよい方向に導くこととなるでしょう。
そして彼らを纏めるのは、一年A組、本橋つみれさんです。現在の生徒会は本日を持って廃止し、新たな生徒会を発足します。
生徒会長は本橋さん、壇上にいる転校生を生徒会の新役員とし、新体制で生徒会を運営します。
新生徒会は、この学校での最高指揮官の権限を与え、全生徒一丸となって従うように」
教師も生徒も一斉に背筋をただし、右手で敬礼をした。誰一人、異議を唱えるものはいない。
現在の生徒会を廃止し、一年の本橋さんが生徒会長? 転校生が新生徒会の役員?
最高指揮官って……。
まるで軍隊みたい。
本橋さんがツカツカとマイクの前に立つ。まるで軍隊の最高指揮官に敬意を表すように、全員がピンと直立している。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます