【15】洗脳と先王

流音side

139

「風見さんおめでとう。早く壇上へ」


 柿園先生に促され一歩足を踏み出す。


「異議あり!」


 澄斗がスッと右手を上げた。誰一人騒ぎ立てる風でもなく、こちらに視線を向けている。


 無表情だが、目だけは不気味な光を放つ。


「空野君、何かしら? 意見を聞くわ。発言を許可します」


「生徒会の副会長は本来ならば二名必要です。もう一人決めるべきです」


「もう一人? そうね、それはいい案かもしれないわね」


「俺が生徒会副会長に立候補します」


 澄斗の言葉に本橋さんが口角を緩めた。


「一年A組空野澄斗さんが立候補されていますが、皆さんどうしますか? 賛成の方は挙手願います」


 生徒達が一斉に手を上げた。


「……澄斗」


「では2人とも壇上へ」


 緊張しているあたしに、澄斗が視線を向けた。お互い会話を交わすことはない。でも澄斗の目は『大丈夫だよ』と、言っているように思えた。


 澄斗の後ろを歩き、壇上に上がる。


 本橋さんがあたし達に視線を向けた。


「生徒会副会長に風見さんと空野君を任命します」


 本橋さんの言葉に拍手が沸き起こる。


 極力表情を変えることなく、あたしと澄斗はその場で「宜しくお願いします」と頭を下げた。


 全校集会を終え、新生徒会役員は壇上を降り、舞台裏に集合する。


「早速だけど、放課後第一回生徒会会合を行います。風見さんも空野君も出席してね」

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