【15】洗脳と先王
流音side
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「風見さんおめでとう。早く壇上へ」
柿園先生に促され一歩足を踏み出す。
「異議あり!」
澄斗がスッと右手を上げた。誰一人騒ぎ立てる風でもなく、こちらに視線を向けている。
無表情だが、目だけは不気味な光を放つ。
「空野君、何かしら? 意見を聞くわ。発言を許可します」
「生徒会の副会長は本来ならば二名必要です。もう一人決めるべきです」
「もう一人? そうね、それはいい案かもしれないわね」
「俺が生徒会副会長に立候補します」
澄斗の言葉に本橋さんが口角を緩めた。
「一年A組空野澄斗さんが立候補されていますが、皆さんどうしますか? 賛成の方は挙手願います」
生徒達が一斉に手を上げた。
「……澄斗」
「では2人とも壇上へ」
緊張しているあたしに、澄斗が視線を向けた。お互い会話を交わすことはない。でも澄斗の目は『大丈夫だよ』と、言っているように思えた。
澄斗の後ろを歩き、壇上に上がる。
本橋さんがあたし達に視線を向けた。
「生徒会副会長に風見さんと空野君を任命します」
本橋さんの言葉に拍手が沸き起こる。
極力表情を変えることなく、あたしと澄斗はその場で「宜しくお願いします」と頭を下げた。
全校集会を終え、新生徒会役員は壇上を降り、舞台裏に集合する。
「早速だけど、放課後第一回生徒会会合を行います。風見さんも空野君も出席してね」
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