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美術室のドアが突然開く。
「俺も協力するよ」
そこにいたのは……
澄斗だった。
「澄斗……どうしてここに」
「そこに幽霊がいるんだろ。俺にアンタは見えねぇけど。学園をこのままにしておくわけにはいかない。幽霊と流音だけじゃ太刀打ち出来ないよ」
コツコツと靴音がし、あたし達は身構える。
姿を現したのは伊住君だった。
「……伊住君」
「風見さん、そんなに敬遠しないで。僕は君たちの味方だ」
「美術室の絵画を、柿園先生と処分しようとしたわ」
「それは……否定はしない。でも今回のこととは無関係だ。学園でなにかただならぬことが起きている。正常な状態でいるのは、俺達三人だけだ」
ガタンと音がし、黒谷君が姿を現す。
「いや違うね。正常なのは俺達四人だ」
黒谷君は絵画を燃やそうとした。
そんな人を信じることは出来ない。
「黒谷君も伊住君も信用出来ないわ」
「俺達はこの学園に蔓延る悪霊を退治しようとしたまで。だから伊住と美術室の幽霊の存在をずっと調べていた。悪の根源は美術室の幽霊だと確信したからこそ、絵画を処分しようとしたんだ。だがその結果がこれだ。やっと俺達の考えが間違いだったと気付いた」
黒谷君は制服の下に着ているトレーナーのフードを被ったままだ。
「あなたがヴァンパイアでないというのなら、フードを脱ぎなさいよ」
「ヴァンパイア? お前何言ってんの?」
「学園には新種のヴァンパイアが蔓延っている。地縛霊を地底から蘇らせ、生徒を操っているのは、そのヴァンパイアよ」
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