【13】救済と窮災

流音side

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 柿園先生と伊住君が美術室を出たあと、唐沢先輩の元に走る。


「唐沢先輩、大変だよ。伊住君は本気だよ」


『この絵画を処分されては困る』


「あたし、預かります。唐沢先輩なら、この絵画が外せるんですよね」


『外せるが……。どうするつもりだ』


「あたしの家に持って帰る」


『この絵画を家に?』


「暫く、隠すだけよ」


 唐沢先輩は絵画に歩み寄る。


『みんな、どうする?』


『ジュナ様と離れるのはいや』


『俺もだ』


『ジュナ様も一緒に行きましょう』


『俺は美術室から出れないよ。でも君たちが処分されるのを、みすみす見逃すわけにはいかない』


『だったら、私達も行かない。ジュナ様とは一心同体です』


『このままここにいれば、君たちもハカセのように火を放たれるかもしれない』


『『きゃあー! 私達焼き殺されてしまうのですか!?』』


 唐沢先輩は大きく頷く。


『それではジュナ様の呪いが……。私達何のために魂を絵画に宿したかわからないわ』


 唐沢先輩の呪い?


『君たちの死を無駄にしたくはない』


『ジュナ様、私達覚悟を決めました。不本意ですが、ジュナ様のためにこの女子の元に暫くお世話になります』


 不本意は余計だよ。

 もっと感謝して欲しい。


『わかった。流音、彼女達を頼めるか? 彼女達はこの絵画の中で生きているんだ。決して乱暴に扱ってはいけない』


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