【13】救済と窮災
流音side
116
柿園先生と伊住君が美術室を出たあと、唐沢先輩の元に走る。
「唐沢先輩、大変だよ。伊住君は本気だよ」
『この絵画を処分されては困る』
「あたし、預かります。唐沢先輩なら、この絵画が外せるんですよね」
『外せるが……。どうするつもりだ』
「あたしの家に持って帰る」
『この絵画を家に?』
「暫く、隠すだけよ」
唐沢先輩は絵画に歩み寄る。
『みんな、どうする?』
『ジュナ様と離れるのはいや』
『俺もだ』
『ジュナ様も一緒に行きましょう』
『俺は美術室から出れないよ。でも君たちが処分されるのを、みすみす見逃すわけにはいかない』
『だったら、私達も行かない。ジュナ様とは一心同体です』
『このままここにいれば、君たちもハカセのように火を放たれるかもしれない』
『『きゃあー! 私達焼き殺されてしまうのですか!?』』
唐沢先輩は大きく頷く。
『それではジュナ様の呪いが……。私達何のために魂を絵画に宿したかわからないわ』
唐沢先輩の呪い?
『君たちの死を無駄にしたくはない』
『ジュナ様、私達覚悟を決めました。不本意ですが、ジュナ様のためにこの女子の元に暫くお世話になります』
不本意は余計だよ。
もっと感謝して欲しい。
『わかった。流音、彼女達を頼めるか? 彼女達はこの絵画の中で生きているんだ。決して乱暴に扱ってはいけない』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます