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「先生もこの絵画はずっと気になっていたの。校長先生に聞いたら、壁に張り付き取り外せないからそのままにしてあるが、撤去出来るなら処分しても構わないと仰ったわ」


「……そんな」


「伊住君ちょっと手伝ってくれる」


「はい」


 柿園先生は絵画に手を掛ける。伊住君と一緒に額を動かそうとするがびくともしない。


「おかしいわね。まるで壁と一体化しているみたい」


 二人は他の額にも手を掛けるが、やはりびくともしなかった。


 絵画の美少女達は、二人の背中に罵声を浴びせている。


『私達を動かせると思ってるの? 処分だなんて、一体どうするつもりよ』


 絵画の声を聞きながら、あたしは柿園先生に意見する。


「柿園先生、無理に外すと壁が壊れてしまうのでは? 破損して修繕となると、校長先生も黙っていないかも」


「そうね。壁を修繕するとなると、今期の予算では修繕費は下りないかもしれないわね。やはり撤去するのは難しいのかな」


「柿園先生、こんな絵画があるから学園に怪奇現象や怪談話が広まるんです。神川さんの件もあるし、生徒の不安を取り除くためにも、撤去した方がいいと思います」


「そうね、でも取り外せないものをどうやって……」


「僕の親戚に建築関係の仕事をしている叔父さんがいます。叔父さんなら上手く外せるかも。頼んでみましょうか?」


「そう? 頼めるかしら? 見積もりを出していただけたら、撤去費用は私から校長に話します」


「はい」


 この絵画を取り外し処分する……。


 唐沢先輩が呆然としている。絵画の美少女達も悲鳴を上げている。


 伊住君が良かれと思ってしていることが、唐沢先輩を追い詰めている。


 あたし……

 どうすればいいの。


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