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「風見さんの写真に写り込んでいる影は、悪いことの起こる前兆かも知れないね。何か変わったことはない?」
「伊住君、あたしが何を話しても笑わない?」
「笑わないよ。だから全部話して」
「……あたしね。三度襲われたの」
「三度? 一体誰に?」
「化学準備室で背後から誰かに口を押さえられた。柿園先生が来て、間一髪で助かった。それに……今日は保健室で神川さんに……」
「神川さん? 神川さんはもう死んでるよ」
「平沼先生は隣のベッドには誰もいなかったって言ったけど、あれは間違いなく神川さんだったわ」
伊住君は興味深くあたしを見つめた。
「神川さんの亡霊を見たの?」
「……うん」
「他には?」
「この学園にはヴァンパイアが潜んでいる。新種っていうか、突然変異のヴァンパイア。太陽の光を怖がらないヴァンパイアが、生徒を餌食にしてるの」
「それ化学室のヴァンパイアだろ?」
「違うわ。化学室のヴァンパイアは古くから伝わるヴァンパイア。ルーマニアからタイムスリップしたの。それに今は人間を吸血しないし、姿も消して生活していた。彼はもう……本橋さんに殺されたわ」
「本橋さんに殺された!?」
恐怖が甦り声が震える。伊住君はあたしに近付き、そっと肩を抱いた。
耳元で優しい声がする。
「怖がらなくていいよ。ゆっくり話して」
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