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 ポンッと背後から肩を叩かれ、思わず叫び声をあげそうになった。


「風見さん大丈夫?」


「……伊住君」


「顔色悪いね。風見さんの被害妄想ハンパないって、三堀さんが心配してたよ」


「千秋が……?」


 あたしが話したことを、もうみんなに話したんだ。


「だけど、僕は風見さんの話がとても興味深い。良かったら僕が話を聞くよ。僕は風見さんの話をバカにしたりしない」


 新聞部の伊住君。

 あたしの話を学校新聞のネタにする気なんだよね。


 伊住君があたしの耳元で囁く。


「実は僕も、この学園にヴァンパイアがいると信じてる派なんだ」


「えっ?」


「風見さんに協力する。僕も真実が知りたい」


「あたしの話を信じてくれるの?」


「放課後、新聞部の部室で待ってる。今日は部活休みだから」


「わかった。新聞部の部室に行けばいいのね」


 二時限目の授業開始のチャイムが鳴り、あたしは伊住君と一緒に教室に入った。


 澄斗は本橋さんと一緒だ。本橋さんはまるで彼女みたいに寄り添っている。


「流音もう大丈夫なのか? もっと保健室で休めばいいのに」


「保健室にいると休めないから」


「は? 変なやつ」


 先生が教室に入り、授業が始まる。


 背中に誰かの冷たい視線を感じた。


 でも……、怖くて振り向けなかった。

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