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「……んっ」


 重い瞼の隙間から照明の光が差し込み、目の奥がズキンと痛む。


 あたし……

 死んでるの?


 あたし……

 本橋さんに吸血されたんだ。


 体は鉛のように重い。

 もう……ヴァンパイアになってしまったのかな。


「うわっ!」


 あたしの隣に誰かが寝ていることに気付き、飛び起きる。


 ここはあたしの部屋じゃない。


 ここは……。


 数回瞬きをし、薄明かりの中で目を凝らす。


 よく見ると……

 見覚えがある。


 ここは……

 澄斗の部屋だ!


 澄斗のベッドに寝ているあたし。


 まさか……隣は……!?


 そっと布団を捲ると、そこには本橋さん……!?


 なんで?


 どうして?


 あたしが澄斗のベッドで、本橋さんと仲良く寝てるわけ?


 手で首に触れる。

 肌に傷はなく、すべすべしている。


 吸血……されてない?


 澄斗の部屋を飛び出すと、浴室から出て来た澄斗と出くわす。


「流音、目が覚めたのか」


「……うん。あたし……本橋さんに襲われたんだ」


「は? 本橋さんが流音を? 女に襲われたってか? 二人でなにしたの?」


「バカ、変態! なに変な想像してんの。違うってば。本橋さんはヴァンパイアなんだってば」


「は? 夢でも見たのか? 鼾掻きながら爆睡だもんな。あれじゃ隣に寝ている本橋さんが悪夢を見るよな」


 失礼しちゃうな。

 あれは夢なんかじゃない。

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