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◇
「……んっ」
重い瞼の隙間から照明の光が差し込み、目の奥がズキンと痛む。
あたし……
死んでるの?
あたし……
本橋さんに吸血されたんだ。
体は鉛のように重い。
もう……ヴァンパイアになってしまったのかな。
「うわっ!」
あたしの隣に誰かが寝ていることに気付き、飛び起きる。
ここはあたしの部屋じゃない。
ここは……。
数回瞬きをし、薄明かりの中で目を凝らす。
よく見ると……
見覚えがある。
ここは……
澄斗の部屋だ!
澄斗のベッドに寝ているあたし。
まさか……隣は……!?
そっと布団を捲ると、そこには本橋さん……!?
なんで?
どうして?
あたしが澄斗のベッドで、本橋さんと仲良く寝てるわけ?
手で首に触れる。
肌に傷はなく、すべすべしている。
吸血……されてない?
澄斗の部屋を飛び出すと、浴室から出て来た澄斗と出くわす。
「流音、目が覚めたのか」
「……うん。あたし……本橋さんに襲われたんだ」
「は? 本橋さんが流音を? 女に襲われたってか? 二人でなにしたの?」
「バカ、変態! なに変な想像してんの。違うってば。本橋さんはヴァンパイアなんだってば」
「は? 夢でも見たのか? 鼾掻きながら爆睡だもんな。あれじゃ隣に寝ている本橋さんが悪夢を見るよな」
失礼しちゃうな。
あれは夢なんかじゃない。
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