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唐沢先輩が写真に写り込んでいる!?
唐沢先輩は黒いイメージじゃないんだけど。
あたしには唐沢先輩は妖精か天使のイメージしかない。
でも確かに、伊住君の言う通り、あたしが写っている写真にはうっすらと黒い影が映り込んでいる。
「風見さん用心した方がいいよ。これは不吉な前兆。何か悪いものが風見さんに取り憑いている」
やだな、取り憑くだなんて。これは唐沢先輩だよ。
「きゃあー……」
突然、女子が悲鳴をあげ、教室は騒然となる。
その原因は、教室の床をうろちょろしている一匹の鼠だった。
明らかにハカセだ。
男子がホウキを手に取り、鼠を叩こうと振り上げた。
「待って! 殺さないで! その鼠……。あ、あたしのペットなの」
「ペット!?」
教室の中に不穏な空気が流れた。女子が薄気味悪いものを見るように、あたしを見ている。
本当にハカセかな。
半信半疑のまま、鼠に話し掛ける。
「ハカセ、こっちにおいで」
床に手をつけ差し出すと、鼠はあたしの掌の上にピョンと乗った。
やっぱり、ハカセだ。
この空気、どうしてくれるのよ。
まるであたしが奇人変人みたいじゃない。
あたしは鼠を手に乗せたままへらへら笑い、教室を出る。クラスメイトはあたしをササッと避け、道を開けてくれた。
みんなの冷たい視線を感じながら、階段の下に行き、周囲に誰もいないことを確認して鼠に話し掛ける。
「何で教室に来るかな」
『流音ちゃんが心配だったからさ』
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