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「ですよね、ですよね。人間じゃないんだから、映らないよね」
『馬鹿馬鹿しい。何を納得している』
「あの……。鏡に映らない人間っているのかな?」
『人間にそんなヤツはいないよ。鏡に映らないのは、もう死んでいるか、この世のものではないかだ』
「……ですよね、やっぱり勘違いかな」
目の前にスッとハカセが現れる。蝙蝠が羽を広げるように、黒いマントを翻す。
『よっ、流音ちゃん。それって、転校生のことか?』
「ハカセ、どうしてわかるの?」
『やっぱりな。あの本橋って転校生は、もしかしたら流音ちゃんが見た変死体かもしれないな』
「本橋さんが変死体!? 髪型は確かに似ているけど、顔つきは全然違う。本橋さんは美少女だけど、変死体はおぞましい顔をしてた……」
『それは仮の姿かもしれない。だが本橋がヴァンパイアなら太陽の光には耐えられないはずだ。普通に生活しているなら、ヴァンパイアでないか、俺みたいな突然変異……』
「突然変異……!?」
『俺は化学室で実験中だが、未だに薬品の開発に成功はしていない。彼女は新種のヴァンパイアか、それとも何らかの理由で死者が甦ったか……』
「死者!?」
『ジュナのかけた封印が解け、地縛霊が甦ったのかもしれない』
唐沢先輩が眉をしかめる。
あたしには何の話か、さっぱりわからない。
『地縛霊って……?』
『ジュナの前に十人目の女子が現れ、ジュナの呪いが解けることを恐れた地縛霊が、それを阻止しようと蠢いているとしたら、神川の突然死も納得がいく』
呪いとか……
地縛霊とか……
全然、意味わかんない。
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